★ほぼ熟した、棘のある果実と葉

☆ダシャムーラの一員として有名な根

★雨季の花と葉、茎

【学名】
Tribulus terrestris Linn.
【科】
ハマビシ科(Zygophyllaceae)
【同義語・異名】
Bhakṣakaṇṭa(バクシャカンタ): 棘があっても広く薬として使われる
Bhakṣyatak(バクシャタク)
Caṇadruma(チャナドゥルマ): ヒヨコ豆に似た葉を持つ
Gokaṇṭaka(ゴーカンタカ): 家畜を突き刺す棘を持つ
Gokṣura/Gokṣuraka(ゴークシュラ/ゴークシュラカ): 果実は歩いている家畜の足を傷つける棘を持つ、特に棘はひずめに刺さる
Ikṣugandhika(イクシュガンディカ): 草はサトウキビの香りをもつ
Kaṇṭaki(カンタキ)
Kaṇṭaphala(カンタファラ): 果実は棘を持つ
Kṣuraka(クシュラカ): 果実には鋭い棘がある
Land caltrops(英名)
palankaṣā(パランカシャー): 実の棘は家畜の筋肉部位まで突き刺さり、草食動物に怪我をもたらす
puncture vine(英名)
ṣaḍaṅgā(シャダンガー): 植物の通常の5箇所から離れた6番目の場所に棘を持つ
small caltrops(英名)
Śvadanṣṭrā(シュワダンシュトラー): 果実は犬の犬歯に似た鋭い棘を持つ
Svādukaṇṭaka(スワードゥカンタカ): 甘味である
Trikaṇṭaka(トリカンタカ): 果実は三つの棘を持つ
Vanaśṛṅgāṭa(ワナシュルンガータ): 野生育ち/果実はシログワイ(water chestnut)に似ている
浜菱(ハマビシ)(和名)
蒺藜子(シツリシ)(乾燥果実の生薬名)
【ガナ/クラ(古典における分類)】
ガナ)
チャラカ: 利尿作用(Mūtravirecanīya), 抗浮腫/抗炎症作用(śothahara),抗寄生虫作用(kṛmighna), 緩下補助作用(anuvāsanopaga)
スシュルタ:vidārigandhādi, vīratarvādi, laghupañcamūla, kaṇṭaka pañcamūla, vātāśmaribhedana
ミシュラカ: laghu pancamūla(小五根)、daśamūla(十根)、Kaṇṭaka pancamūla(棘五根)
クラ)
Gokṣurakula
【ラサ(味)】
甘
【グナ(性質)】
重油
【ヴィールヤ(効力)】
冷性
【ヴィパーカ(消化後味)】
甘
【ドーシャへの影響】
ワータピッタシャーマカ (ワータとピッタ、二つのドーシャを緩和する)
【スロトガーミトワ(経路・臓器・組織行性、親和性。特に作用する部位のこと)】
ドーシャ:ワータ&ピッタドーシャ
体組織(ダートゥ):シュクラ、マーンサ、メーダ、ラクタ
老廃物(マラ):尿
臓器)膀胱、心臓、尿路、大腸
【カルマ(作用)】
・利尿作用(Mūtrala)
・排石作用(Aśmarīnāśana)
・催淫作用(Vṛṣya)
・強精作用(Vājīkaraṇa)
・知覚回復作用(Vedanāsthāpana)
・ワータを鎮静する(Vātaśāmaka)
・心保護・強心作用(Hṛdya)
・出血性疾患(ラクタピッタ)を緩和する(Raktapittaśāmaka)
・抗浮腫・炎症作用(Śothahara)
・余剰なカファを液体にして排出する(Kaphanihsāraka)
・安胎作用(Garbhasthāpana)
・緩下作用(Anulomana)
アーマ燃焼+消化力亢進+吸湿作用(Grāhī)
・抗寄生虫作用(Kṛmighna)
・灼熱感を治す(Dāhapraśamana)
【適応(アーマイカプラヨーガ)】
結石(aśmari)
排尿困難(Mūtrakṛcchra)
尿閉(Mūtraghāta)
膀胱炎(Bastiśotha)
尿量異常性疾患(Prameharoga)
精液の病気(Śukra vikāra)
男性不妊(Napunsakatā-klaibya)
子宮の病気(Yonivyāpada)
流産(Garbhasrāva)
早産(Garbhapāta)
咳嗽(Kāsa)
呼吸困難(Śvāsa)
心臓病(Hṛdroga)
出血性疾患(Raktapitta)
浮腫/炎症(Śotha)
消化力低下(Agnimāndya)
痔疾(Arśa)
腹部消化器疾患(Udara-koṣṭha vikāra)
腹痛(Śūlaroga)
便秘(Vibandha)
体組織減少(Dhātukṣaya)
虚弱(Daurbalya)
神経衰弱(Nāḍīdaurbalya)
(線維筋痛症のような)様々な痛みを主訴とする病気(Vedanȳukta vikāra)
ワータ性の病気(Vātavyādi)
灼熱感(Dāha)
【薬用部位】
果実
根
全草
【用量・用法】
果実の粉末: 3–6g
煎じ液: 50−100ml
【含有化合物】
ステロイダルグリコシド
ステロイダルサポニン
アルカロイド
リグナナミド
ケイ皮酸アミド
テレストロシンABCDE
ジオスゲニン
デスガラクトチゴニス
ギトニン
F -ギトニン
デスグルコアナチゴネイス
ギチニン
ヘコゲニン
ネオチゴゲニン
クロロゲニン
スピロスタノール
フロスタノール
ヤモゲニン
【使用例(āmayikaprayoga)】
・疼痛を伴う排尿困難に牛乳でゴークシュラを煮たものを内服させる
・全草のフレッシュジュースをギーと煮てから牛乳と共に与えると結石症に良い
・ゴークシュラと乾姜の煎じ液を1日3回投与すると関節リウマチの疼痛に良い
・強精法(ワージーカラナ)目的ではゴークシュラの粉末を牛乳と似たものを飲む
・排尿困難に対して全草で作った煎じ液に氷砂糖と蜂蜜を入れたものが良い
・果実の温浸出液は腎臓病、浮腫、結石、痛風に良い。
・果実の温浸出液は膿尿、尿閉、心臓病、尿量異常性疾患、子宮内膜炎/子宮筋層炎、膀胱炎、習慣性流産にも良い。
【処方例・主な適応】
ゴークシュラクワータ(Gokṣura kwātha)・尿路結石、排尿困難
ゴークシュラビージャチュールナ(Gokṣurabīja cūrṇa)・尿路結石
ゴークシュラーディモーダカ(Gokṣurādi modaka)・強精
シュワダムシュトラーディヤグルタ(Śwadmṣtrādya ghṛta)・心臓病、腹痛
シュワダムシュトラーディレーパ(Śwadamṣtrādi lepa)・排尿困難
【注意・禁忌】
なし
【1行まとめ】
強精+泌尿器疾患特効でダシャムーラの一員
【臨床小話】
インドは暑いせいかピッタ体質のわたしは熱がこもりやすく、良く排尿時灼熱感(mūtradāha)を自覚しますが、ヒマラヤ製薬のゴークシュラの錠剤を飲むとあっという間に治るので、膀胱炎まで進行したことがありません。ダシャムーラ、十根の生薬は全て抗浮腫・抗炎症作用を持つので、ネフローゼなんかに使っても面白いのではないかと思います。
ゴークシュラは雑草みたいに道端に生えているのですが、BSDT大学でも工事や開発が進んでいるせいかどんどん数が減っているので、道端でバイクや車に轢かれそうになっていたゴークシュラを植木鉢に植え替えて保護しようと思ったことがあります。
シャベルを借りに、マハラジのお弟子さんで引退した元産婦人科医のプラバタイのところへ行って聞いたことによると、彼女もゴークシュラを何度も、時間とお金をかけて人工栽培しようとしたことがあるけど種からもダメだったし、植木鉢に植え替えても何をしても枯れちゃうのよ!!!ゴークシュラはね、自分達で自分達が生える地面を選ぶの。石だらけの荒地とかね。だから植え替えるんじゃなくて、そっと見守ってときどきお水をあげるだけで十分よ。と言われたので植木鉢とスコップを買って持って行ったんですが、諦めました。
春にお水をあげると翌日1、2輪花を咲かせていて、お水ありがとー。と言われているみたいでかわいいところもあったのですが、荒地、踏まれる地面、石ころだらけの肥沃でない地面が好きだなんて、マゾな植物なのかな?とも思ったことでした。2年生の薬学実習の時にはあちこちに咲いていたので見つけるのが簡単でしたが、卒業する頃には道路が舗装されてしまい、ゴークシュラたちは姿を消していて悲しく思ったものです。
ハマビシの名で東北以南の日本の海岸にも生えているそうですが絶滅危惧IB類であったことに驚きました。
