アーユルアロマ漢方による打撲治療の症例報告

ご無沙汰致しております。自験例ないし症例報告。の投稿もお久しぶりです。

実家に帰って高齢の父と同居しておりますが、父は後頸部〜右肩の帯状疱疹後神経痛に悩まされていて、神経障害性疼痛に対して三環系抗うつ剤を主治医から出されてます。

それが出てから夜良く眠れるようになった。と本人は主治医に感謝しているのですが高齢なもので、三環系抗うつ剤の副作用の、薬剤性パーキンソニズムみたいになってきたんですよね。歩くのが小刻みでよたよたしていて、手の動きも書字困難な感じで悪くなってきて。

 そして起立性低血圧による失神まで起こして、何度も転んでは腰椎圧迫骨折、肋骨骨折。をここ2年以内に受傷してました。三環性抗うつ薬のせいだよ。辞めなよ。と言いましたが眠れない痛みにまた襲われるかもと思ったらしく同意は得られませんでした。

腰がひどく曲がってますので重心がずれてますから、杖の使用も勧めたのですが、白髪と圧迫骨折のせいで背中も曲がって誰がどこからどうみても爺さんなのに、見えっぱりの格好付けでどんなに勧めても杖を買おうとしないので、もう諦めてますが。

つい最近もすっ転んで眉毛のすぐ上をテレビ台の角にぶつけて、ゴルフボール大のたんこぶを作っていました。

 もう少し下だったら眼球破裂の可能性もありましたから、たんこぶで済んで運が良かったのでしょうが。

 数日したら目の周りに重力で落ちてきて紫パンダになるんだろうなあ。目立つよなあ。

と思いまして、漢方で「火傷、傷、痔に」という謳い文句で有名な華岡青洲が考案した「紫雲膏(しうんこう)

という傷薬10gほどに、

ターメリック(プラナロム)

ベチバー(プラナロム)

真正ラベンダー(生活の木)

のエッセンシャルオイルを4、5滴ずつ混ぜて、更にアーユルヴェーダのヒマサーガラタイラム

を2ccほど加えて練り合わせてから、たんこぶに分厚めに塗り、ガーゼ保護しました。

翌日、残った軟膏を塗ろうとガーゼを取ってもらったわたしは驚きました。

ぼこっ。と本当に、皮下にゴルフボール入れました。という感じで出っぱっていたのに、標高が4分の1くらいになってかなり目立たなくなっていたからです。写真撮っておけば良かったんですが、自分でもこんなに即効性があるとは思っていなかったもので。絵で描くとこんな感じでした。↓

「外傷」はアーユルヴェーダでは3つのドーシャのうち、ワータをひどく悪化させると言われています。

なので、西洋医学では打撲やら出血の初期治療としてはひたすら「アイシング」、冷やすことを指示(冷やして血管を収縮させて血流を下げることで止血するためですね)されることが多い訳ですが、ワータは「空+風」元素から成るので風に吹かれると寒いし乾燥しますから、ワータは「冷たい、乾燥」という性質を持つ訳です。

「同じ性質のものを加えるとその性質を助長し逆の性質のものを加えるとその性質を抑制する」のシンプルなアーユルヴェーダの原則からすると、冷やす時間が長いと逆にワータを悪化させちゃうんですよね。往々にして、もうとっくに止血しているのに冷やし続けている場合もあったりして。

だから外傷の場合は出血が止まったらむしろ患部を「温める、脂っこくする」が正解な訳です。

アーユルヴェーダで作者不明な有名なシュローカ(サンスクリット語の一節)があるのですが、

“痛みはワータ、灼熱感はピッタ、痒みはカファ”

というものです。痛みはワータの悪化が原因なことが多い、と言っている訳です。なので、打撲に対して冷やしすぎ。は痛みを悪化させて治癒を遅らせるので、良いことはないですね。

本当はごま油や蜜蝋や豚脂が入っている紫雲膏もヒマサーガラタイラムも少し温めてから混ぜて、温かいペースト状にして塗ったら悪化したワータを鎮めるにはもっと良かったんでしょうが、精油も入れるつもりだったので揮発して飛んだらいけない。と思って常温のままで混ぜました。

上述の紫雲膏は蜜蝋とゴマ油ベースの軟膏で、豚脂・当帰・紫根が入っています。

当帰は「駆瘀血剤、鎮静、強壮剤で貧血、腹痛、身体冷感、疼痛、月経困難に用いる」と漢方診療医典第5版にはありました。

荒木性次先生の「新古方薬嚢」によると当帰は「味甘温中を緩め外の寒を退け気血の行りをよくすることを主る、故に手足を温め、腹痛を治し、内を調え血を和し胎を安ず、之当帰の好んで夫人血の道諸病、諸の冷え込み等に用いらるる所以なるべし」とあります。味が甘くて温める性質を持つところはワータを下げるのに良いですね。婦人病諸病に用いられる生薬ですから5種類あるワータの頂点、リーダーであるアパーナ・ワータもターゲットにしてますね。血管外に漏れ出た血液を駆瘀血作用で除去もしてくれて、増血作用もあるというところも良いです。

紫根は漢方診療医典によると「解熱、解毒、利尿剤で瘡腫に用いる」とあります。瘡腫とは皮膚が腫れて膿を持ったもの、腫れ物、できもの。だそうですがたんこぶもまあ、こじつければ急性の腫れ物と言えないこともないですね。

「名医別録」には「療腫脹満痛、用以合膏、療小児瘡及面皶(腹腫が脹満して痛むものを治療するほか、膏を作って小児の瘡及び顔のできものを治療する)」とあって、「腫れて痛むもの」や「外用」としての効能もあることが示されています。

ターメリックはサンスクリット語名ハリドラーで、生薬としてのハリドラーはワータピッタカファ、全部下げてくれますし、止血作用、増血作用、皮膚の異常を治す、創傷治癒促進作用、創傷浄化作用があるので出血を止めて出た分の血を作り、血腫に感染を起こさないように。と思って選びました。

「アーユルヴェーダとアロマテラピー」によるとVK-,P+なので精油としてのターメリックはワータとカファを下げてくれます。生薬とちょっと違うのが面白いですね。全ての組織に作用し、抗菌、血液浄化、外傷治療に良く、効能には貧血、創傷、打撲傷。とあるので、救急箱に1本あると頼り甲斐がありますね。今回の活躍を目にしたので、買い足しました^^;

ベチバーはサンスクリット語名ウシーラ。生薬としてのウシーラには止血作用と脳神経鎮静作用があったので選びました。外傷後って気持ちが動転しますから。

「アーユルヴェーダとアロマテラピー」によるとV-KP+ですからワータをさげてくれる精油です。心を落ち着かせる作用があって神経系、皮膚に作用しますから頭部の外傷にも良さそうです。

ラベンダーは穏やかな鎮痛作用と鎮静作用に期待して入れました。「アーユルヴェーダとアロマテラピー」によるとPK-, V0(ピッタとカファを減らすがワータには影響を与えない)という精油らしいです。そうかなーーー???

わたしの実体験からすると、飛行機とかタクシーに長時間乗るとワータが悪化して、そういう閉鎖空間でおならしちゃいけない。と緊張するのもあるのか、覿面にお腹が張ってガスっ腹になるのですが、あらかじめラベンダーを腹部に塗っておくとお腹が張らないので、ワータも下げてくれるんじゃ?と個人的経験からはそう思います。効能には「怪我、頭痛、情緒不安定」とありますので頭部外傷に良いですね。

ヒマサーガラタイラムはワータとピッタを下げる不眠症に使う薬用オイル。という認識で、ピッタが悪化しがちな(カッカしがちな)わたしのマッサージ用としてたくさんインドから買って持ち帰ってきたのですが、とにかくワータを下げなきゃ!と思っていたので採用しました。製薬会社のサイトを良く見たら頭痛、抑うつ、過労にも効く。とあったので、頭部打撲に対してはベストではなかったものの、悪いチョイスではなかったと思います。

その後4分の1になった血腫の吸収が進み、予想通り一部重力で左目の周りに落ちましたが、当初より血腫の量が少なかったので左目全周が紫パンダ。になる事態は避けられて、目頭のほうだけパンダ。になっていました。

漢方の治打撲一方(ちだぼくいっぽう)

も受傷後3日目から飲ませました。目頭パンダの吸収が早かったのはこの薬のおかげもあると思いますが、血腫があんなに素早く吸収されたのはアーユルアロマ漢方のおかげと思います。

以前、インド留学時代にバイクで自損事故を起こして右膝の血腫を作って、折角だから。と大学病院の外科にかかったら先生は普通に西洋医学の痛み止めを出そうとしてきたので、いやいやいやいや。折角なんだからアーユルヴェーダの薬ください。

と頼んだらムリベンナオイル(外傷治療の薬用オイルとして有名)でのパリシェーカ(オイルを温めて傷の上からたーらたーらと垂らすこと。ホットオイルシャワー。な感じというか、シローダーラーをおでこじゃなくて膝にする感じです)をしなさい。と言われて、右膝が曲がらなくて準備するのも大変でしたが、言われた通り10分くらいやってみたら翌日には腫れが3分の1くらいになっていて、処方した外科の先生が「こんなに効くとは思わなかった」と言って目を丸くしていたのを思い出しました。

アナタ、外科の講師なのにアーユルヴェーダを信じてなかったんかいwwwww

アーユルヴェーダも、アロマも、漢方も、病態に合っていれば即効性があるんです!!!

というのを思い知った事でした。

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