★カランジャ全体

★カランジャ樹皮

☆カランジャの花

☆カランジャの実と種

【学名】
Pongamia pinnata
【科】
マメ科(Fabaceae)
【亜種】
バーバプラカーシュによると三つの亜種があるとされている。
1.Ghṛta karañja
2.Kaṇṭakī karañja
3.Karñji
【同義語・異名】
Ghṛtaparṇaka(グルタパルナカ):葉はツヤツヤしている
Ghṛtapūrṇa(グルタプールナ):カランジャの種から得られる油はギーに似ている
Gucchapuṣpaka(グッチャプシュパカ):花は沢山付く
Indian beech(英名)
Indian pongamia(英名)
Karaja(カラジャ):花は爪のような形をしている
Karumtree(英名)
Lājāpuṣpaka(ラージャープシュパカ);花は乾燥した稲のような形をしている
Mullikulam tree(英名)
Naktamāla(ナクタマーラ):カランジャの花は夜に咲く
Pongam oil tree(英名)
Pūtipatraka(プーティパトラカ);葉は悪臭がする
Rochan(ローチャン)
Seashore mempari(英名)
Ślāpadārī(シュラーパダーリー):フィラリアに良く効く薬
Snigdhapatra(スニグダパトラ):葉は光沢がある
Smooth leaved Pongamia(英名)
Udakīrya(ウダキールヤ):カランジャの花は朝に水に浮いている
Vṛddhaphal(ヴルッダファル)
クロヨナ(和名)
【ガナ/クラ(古典における分類)】
ガナ)
チャラカ:止痒薬(kaṇḍughna), virecana(瀉下療法薬), kaṭukaskanda(辛味薬グループ), tiktaskanda(苦味薬グループ)
スシュルタ:Āragvadhādi,varuṇādi, arkādi, śirovirecanādi(頭部浄化薬), kaphasamśamana(カファドーシャ緩和薬)
クラ)
śimbīkula
【ラサ(味)】
軽鋭
【グナ(性質)】
苦辛渋
【ヴィールヤ(効力)】
温性
【ヴィパーカ(消化後味)】
辛
【ドーシャへの影響】
カファワータシャーマカ
【スロトガーミトワ(経路・臓器・組織行性、親和性。特に作用する部位のこと)】
ドーシャ: カファワータグナ
体組織(ダートゥ):メーダ、ラクタ
老廃物(マラ):便
【カルマ(作用)】
・痔疾を治す(Arśoghna)
・消化力向上(Dīpana)
・アーマ燃焼(Pācana)
・止嘔作用(Chardīnigrahaṇa)
・下剤作用(Bhedana)
・アーマ燃焼+消化力亢進+吸湿作用(Grāhī)
・抗寄生虫作用(Kṛmighna)
・難治性皮膚病を治す(Kuṣṭhaghna)
・止痒作用(Kaṇḍūghna)
・抗炎症/抗浮腫作用(Śothahara)
・脂肪組織除去作用(Medohara)
・創傷浄化作用(Vraṇaśodhana)
・創傷治癒促進作用(Vraṇaropaṇa)
・悪霊(細菌、ウイルス、真菌などの目に見えない微生物を指すこともある)防止、精神異常を治す(Bhūtaghna)
・育毛促進作用(Romasanjana)
・解毒作用(Viṣaghna)
【適応(ローガグナタ)】
頭部疾患(Śiroroga)
眼の病気(Netraroga)
痔(Arśa)
ウダーワルタ(Udāvarta)(ワータの上衝により尿便屁が出ない)
腹部腫瘤(Gulma)
寄生虫疾患(Kṛmi)
腹部疾患(Udararoga)
脾腫(Plīhodara)
出血性疾患(Raktapitta)
疥癬(Pāmā)
陰股部間擦疹(Kacchu)
湿疹(Vicarcikā)
難治性皮膚病(Kuṣṭha)
白斑症(Śvitra)
膿瘍(Vidradhi)
瘻孔(Nāḍīvraṇa)
嚢胞(Granthi)
丹毒(Visarpa)
マイナー皮膚疾患(Kṣudraroga)
水疱(Visphoṭa)
掻痒症(kaṇḍū)
肥満(Medoroga)
多尿症候群(Prameha)
外傷(Vraṇa)
毛髪の病気(Keśaroga)
ウルスタンバ(大腿の筋攣縮を主症状とする急性横断性脊髄炎、アテローム性動脈硬化症、大動脈腸骨動脈閉塞、痙性対麻痺、ミオパシーなどを包括する疾患。)(Urustambha)
性行為感染症(Upadaṁśa)
子宮の病気(Yoniroga)
小児の病気(Bālaroga)
オムツかぶれ(Ahipūtanā)
中毒(Viṣa)
蠍刺傷(vṛścikadaṁśa)
【薬用部位】
樹皮
葉
種
根
根皮
【用量・用法】
種子粉末:1-3g
根の粉末: 1-2g
根皮:煎じ液用として1-3g
樹皮粉末:1-2g
葉の搾り汁:10-20ml
種子油:3ml
【含有化合物】
Flanores kanugin
Dimethoxy-kanugin
Karanjin
Kanugin
Pongachromene
Tetra-O-methyl fisetin
Pinnai
【使用例(āmayikaprayoga)】
・外傷にはカランジャーディグルタを塗ると良い
・長胡椒の粉末とカランジャ種子粉末をビダンガ粉末と混ぜて点鼻すると寄生虫、難治性皮膚病、カファの悪化に良い。
・難治性皮膚病に対してクシュタ、カランジャの種子、チャクラマルダのペーストを外用として用いると良い
・ウルスタンバ(大腿の筋攣縮を主症状とする急性横断性脊髄炎、アテローム性動脈硬化症、大動脈腸骨動脈閉塞、痙性対麻痺、ミオパシーなどを包括する疾患。)に対してアグニマンタとカランジャで作った煎じ液を罹患部位にふりかけると良い
・関節リウマチと変形性関節炎に対してカランジャの葉の煎じ液を作ってそれで患部を湿布すると良い
・悪臭を伴う創と瘻孔に対して根の搾り汁を塗ると良い
・難治性皮膚病に対してワーサー、クタジャ、サプタパルナ、カラヴィーラ、カランジャ、ニンバ、カディラを牛の尿と合わせて浴用、内服、外用に用いると良い。
・痔疾に対してカランジャの若葉をごま油とギーで炒めたものに乾燥穀物の粉末を混ぜて与えるとワータアヌローマナ(緩下作用とワータの向かう方向を正す)とヴィレチャナ(瀉下作用)として働くので良い。
・脾腫に対してカランジャのクシャーラ(薬用アルカリ)を酸っぱいお粥(発酵させた粥、カーンジーという)で薄めたものにビダラワナ(岩塩の一種)と長胡椒の粉末を混ぜたものを用いるべきである。
・マイナーな皮膚の異常に対してカランジャオイルにワチャー、ダールハリドラー、サルシャパを混ぜたものを用いると良い
・花の温滲出液を糖尿病に与えると良い
・葉を不消化、下痢、腹部膨満、腹部疾患に用いると良い
【処方例・主な適応】
カランジャタイラ(Karañja taila)・皮膚病、難治性皮膚病
カランジャーディヤグルタ(Karañjādya ghṛta)・感染を伴った創傷
カランジャワルティ(Karañja varti)・眼の病気
【注意・禁忌】
特になし
【1行まとめ】
虫皮膚傷に良い解毒ハゲの友
【臨床小話】
インドで回虫を飼ってしまった時にサダナンダ先生に指示されたのがビダンガーリシュタの内服とカランジャタイラムでのマートラバスティ(少ない量のオイルを浣腸すること)連続3日間、でした。
ジャムナガールでサボり常習解剖学講師の奥さん(カーヤチキッツァー専門、内科医)に頼んだら、「こんなやり方、聞いたこともない。効かないと思うわ」とブツクサ言いながらも施行してくれましたが駆除できず、プネーでやり直したら駆除出来た、思い出深い(?)オイルです。
その後、BSDT大学ではパンチャカルマをしにやってきた日本人にルーチンで、旅行で上がったワータの鎮静+寄生虫殺し+アーマ燃焼+消化力向上目的でニームとあともう1種類と混ぜたマートラバスティを3日間、パンチャカルマの下準備として行うことが多かったです。日本は雨が多いカファランドというか、インドから見ると湿地(サンスクリット語でアヌープデーシャと言います)ですし、皆さん日常生活で自重せずに重いものや甘いものといったカファを増やす食べ物を好んで食べていることが多いので、日本人はカファが過剰なことが多いです。カファが過剰だとジメジメオイリーで寄生虫の好む環境となります。
「日本人は意外と寄生虫保有率が高いんだよ。」と以前サダナンダ先生に言われたことがあります。