50)ドラークシャー(Drākṣā)(ヨーロッパブドウ、黒干し葡萄)(冷甘)

☆樹、葉、果実

【学名】

Vitis vinifera Linn.

【科】

ブドウ科(Vitaceae)


【同義語・異名】

Amṛtphala(アムルトファラ)

Amṛtrasa(アムルトラサ)

Bṛmhaṇī(ブルンハニー):ドラークシャーは組織を栄養する

Caruphalā(チャルファラー)

Common grape(英名)

Gostanī:ドラークシャーの実は牛の乳房の形に似ている

Gucchaphalā(グッチャファラー):実は房状に成る

Guḍā(グダー)

Haimavati(ハイマワティ)

Hārahūrā(ハーラフーラー):ドラークシャーはワインを作るのに使われる

Kashmiri(カシュミリ)

Kṛṣṇa(クルシュナ)

Madhuli(マドゥリ)

Madhurasā(マドゥラサ):ドラークシャーは神々の飲む霊酒ネクタルのように甘い

Mṛdvi(ムルドヴィ)

Mṛdvīkā(ムルドビカー):ドラークシャーは体を柔らかくする

Phalā(ファラー)

Phalottamā(ファロッタマ):チャラカはドラークシャーを最上の果物と認識している

Rasālā(ラサーラ):ドラークシャーの実はジューシーである

Sambhavā(サンバワー)

Shatavīrya(シャタヴィールヤ)

´Sramāpahā(シュラマーパハー):ドラークシャーはエネルギーを与え疲労を軽減する

Svāduphalā(スワードゥファラ):ドラークシャーの実は甘い

Tapaspriya(タパスプリヤ)

Uttarāpathā(ウッタラーパター):ドラークシャーは北方で広く栽培される

Yakṣmaghnī(ヤクシュマグニー):ドラークシャーは肺結核に良い

ヨーロッパブドウ

【ガナ/クラ(古典における分類)】
ガナ)
チャラカ: snehopaga(油性化補助薬), virecanopaga(瀉下補助薬), kāsahara(鎮咳薬), jvarahara(解熱薬)

スシュルタ:kākolyādi, parūṣakādi

ミシュラカ:madhura triphalā(甘味三果)、svalpa triphalā(三大果)


クラ)
Drākṣākula


【ラサ(味)】
甘渋

【グナ(性質)】
重油柔

【ヴィールヤ(効力)】

冷性

【ヴィパーカ(消化後味)】



【ドーシャへの影響】
ワータピッタシャーマカ(ワータとピッタドーシャを緩和する)


【スロトガーミトワ(経路・臓器・組織行性、親和性。特に作用する部位のこと)】
ドーシャ: ワータピッタシャーマカ
体組織(ダートゥ):マーンサ、シュクラ、ラクタ、ラサ、サプタダートゥ(7つ全ての体組織)

老廃物(マラ):便、尿
臓器):心臓、子宮


【カルマ(作用)】

・過剰なカファを液体にして排出する(kaphaniḥsāraka)

・延命作用(jīvanīya)

・体力向上(balya)

・筋量増加(bṛṅhaṇa)

・筋量増加(puṣṭiprada)

・体組織を増す(santarpaṇa)

・向知性作用(medhya)

・心身に平穏をもたらす(soumanasya janana)

・向知性作用(mastiṣkabalya)s

・声に良い(svarya)

・目に良い(netreya)

・目に良い(cakṣuṣya)

・味覚向上(rucikara)

・油性化補助作用(snehopaga)

・口渇を治す(tṛṣṇānigrahaṇa)

・灼熱感を治す(dāhapraśamana)

・緩下作用(anulomana)

・緩下作用(sara)

・膀胱しぶりを起こす(mūtraviṭa)

・強心作用(hṛdayabalaprada)

・血液浄化作用(raktaprasādana)

・出血性疾患を治す(raktapittaśāmaka)

・呼吸器を強くする(phuphusabaladā)

・細胞の移動と結合を強化する(sandhānakāraka)

・利尿作用(mūtrala)

・増精作用(vṛṣya)

・安胎作用(garbhasthāpana)

・灼熱感を伴うピッタ性疾患を治す(dāha-paittika vikārahara)

・解熱作用(jvaraghna)

・体温低下作用(tāpakrama hrāsaka)

・鎮咳作用(kāsahara)

・呼吸困難を治す(śvāsahara)

・血液浄化作用(mādahara)

・乾燥症を治す(śoṣahara)

・皮膚に良い(tvacya)

・辛味のように作用する(kaṭupouṣṭika)

・創傷治癒作用(kṣatahara)

【適応(ローガグナタ)】
便秘(vibandha)

ウダーワルタ(Udāvarta)(ワータの上衝により尿便屁が出ない)

口渇(Tṛṣṇā)

灼熱感(Dāha)

昏迷(Saṁmoha)

熱感(Santāpa・主に感覚器が熱く感じて精神的にもイライラすること)

咳嗽(Kāsa)

呼吸困難(Śvāsa)

嗄声(Svarabheda)

肺結核/血胸(Uraḥkṣata)

出血性疾患(Raktapitta)

不正性器出血(Raktasrāva)

悪液質/羸痩(Kṛśatā)

肺結核/ひどい衰弱(Śoṣa)

衰弱(Daurbalya)

消耗性疾患(Kṣaya)

精子減少症(Śukradaurbalya)

子宮機能低下(Garbhāśayadaurbalya)

皮膚病(Tvacāroga)

ワータピッタ性疾患(Vātapaittika vikāra)

心不全(Hṛddaurbalya)

痛風(Vātarakta)

血液性疾患(Raktavikāra)

排尿困難(Mūtrakṛcchra)

排尿時灼熱感(Mūtradāha)

尿の異常(Mūtradoṣa)

脳機能低下(Mastiṣkadaurbalya)

アルコール依存症(Madātyaya)

黄疸(Kāmalā)

貧血(Pāṇḍu)

目の病気(netravikāra)

【薬用部位】
果実


【用量・用法】
粉末:10-20g

搾り汁:20-50ml

薬用酒:5-10ml


【含有化合物】
sugars

Acids

Gum

Tannin

Tartaric acid

Citric acid

Racemic acid

Malic acid

KCl

NaCl

K2So4

Tartrate of lime

Mg

Al

Fe

Albumin

Tannic acid

【使用例(āmayikaprayoga)】
・ワータ、ピッタ性の口渇に対して冷やした葡萄ジュースが良い

・全ての種類の咳嗽に対して干し葡萄50粒、長胡椒30粒、48gの砂糖を混ぜて蜂蜜または牛乳または牛糞の搾り汁(!)と一緒に飲むと良い

・発熱に対してドラークシャーとアーマラキージュースを飲ませると良い

・過敏性腸症候群に対して発酵させたドラークシャーとサトウキビとデーツの搾り汁がよく効く

・黄疸と貧血に対してドラークシャーとアーマラキーのジュースを飲み物として与えると良い

【処方例・主な適応】

ドラークシャーリシュタ(Drākṣāriṣṭa)・肺結核、咳嗽、呼吸困難

ドラークシャーサワ(Drākṣāsava)・貧血、痔疾

ドラークシャーディグルタ(Drākṣādi ghṛta)・貧血、黄疸

ドラークシャーディレーハ(Drākṣādi leha)・ピッタ性咳嗽

ドラークシャーディクワータ(Drākṣādi kwātha)・ワータ性発熱

【注意・禁忌】
特になし

【1行まとめ】

向知性目によく筋精液を増すベスト果物


【臨床小話】

ドラークシャーアリシュタは臨床でよく用いられます。カルマにさまざまな良い効能があり、チャラカの「アンタがナンバーワン」シリーズで、最も体に良い果物。として名前が挙がっています。

カルジューラディマンタの原料の一つでもあり、カルジューラディマンタはアル中の人がアルコールを絶っている際に飲むと良いとされています。ドラークシャーにはアル中にも効果があるからですね。

疲労回復生薬十選にも選ばれています。

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