☆樹、葉、果実

【学名】
Vitis vinifera Linn.
【科】
ブドウ科(Vitaceae)
【同義語・異名】
Amṛtphala(アムルトファラ)
Amṛtrasa(アムルトラサ)
Bṛmhaṇī(ブルンハニー):ドラークシャーは組織を栄養する
Caruphalā(チャルファラー)
Common grape(英名)
Gostanī:ドラークシャーの実は牛の乳房の形に似ている
Gucchaphalā(グッチャファラー):実は房状に成る
Guḍā(グダー)
Haimavati(ハイマワティ)
Hārahūrā(ハーラフーラー):ドラークシャーはワインを作るのに使われる
Kashmiri(カシュミリ)
Kṛṣṇa(クルシュナ)
Madhuli(マドゥリ)
Madhurasā(マドゥラサ):ドラークシャーは神々の飲む霊酒ネクタルのように甘い
Mṛdvi(ムルドヴィ)
Mṛdvīkā(ムルドビカー):ドラークシャーは体を柔らかくする
Phalā(ファラー)
Phalottamā(ファロッタマ):チャラカはドラークシャーを最上の果物と認識している
Rasālā(ラサーラ):ドラークシャーの実はジューシーである
Sambhavā(サンバワー)
Shatavīrya(シャタヴィールヤ)
´Sramāpahā(シュラマーパハー):ドラークシャーはエネルギーを与え疲労を軽減する
Svāduphalā(スワードゥファラ):ドラークシャーの実は甘い
Tapaspriya(タパスプリヤ)
Uttarāpathā(ウッタラーパター):ドラークシャーは北方で広く栽培される
Yakṣmaghnī(ヤクシュマグニー):ドラークシャーは肺結核に良い
ヨーロッパブドウ
【ガナ/クラ(古典における分類)】
ガナ)
チャラカ: snehopaga(油性化補助薬), virecanopaga(瀉下補助薬), kāsahara(鎮咳薬), jvarahara(解熱薬)
スシュルタ:kākolyādi, parūṣakādi
ミシュラカ:madhura triphalā(甘味三果)、svalpa triphalā(三大果)
クラ)
Drākṣākula
【ラサ(味)】
甘渋
【グナ(性質)】
重油柔
【ヴィールヤ(効力)】
冷性
【ヴィパーカ(消化後味)】
甘
【ドーシャへの影響】
ワータピッタシャーマカ(ワータとピッタドーシャを緩和する)
【スロトガーミトワ(経路・臓器・組織行性、親和性。特に作用する部位のこと)】
ドーシャ: ワータピッタシャーマカ
体組織(ダートゥ):マーンサ、シュクラ、ラクタ、ラサ、サプタダートゥ(7つ全ての体組織)
老廃物(マラ):便、尿
臓器):心臓、子宮
【カルマ(作用)】
・過剰なカファを液体にして排出する(kaphaniḥsāraka)
・延命作用(jīvanīya)
・体力向上(balya)
・筋量増加(bṛṅhaṇa)
・筋量増加(puṣṭiprada)
・体組織を増す(santarpaṇa)
・向知性作用(medhya)
・心身に平穏をもたらす(soumanasya janana)
・向知性作用(mastiṣkabalya)s
・声に良い(svarya)
・目に良い(netreya)
・目に良い(cakṣuṣya)
・味覚向上(rucikara)
・油性化補助作用(snehopaga)
・口渇を治す(tṛṣṇānigrahaṇa)
・灼熱感を治す(dāhapraśamana)
・緩下作用(anulomana)
・緩下作用(sara)
・膀胱しぶりを起こす(mūtraviṭa)
・強心作用(hṛdayabalaprada)
・血液浄化作用(raktaprasādana)
・出血性疾患を治す(raktapittaśāmaka)
・呼吸器を強くする(phuphusabaladā)
・細胞の移動と結合を強化する(sandhānakāraka)
・利尿作用(mūtrala)
・増精作用(vṛṣya)
・安胎作用(garbhasthāpana)
・灼熱感を伴うピッタ性疾患を治す(dāha-paittika vikārahara)
・解熱作用(jvaraghna)
・体温低下作用(tāpakrama hrāsaka)
・鎮咳作用(kāsahara)
・呼吸困難を治す(śvāsahara)
・血液浄化作用(mādahara)
・乾燥症を治す(śoṣahara)
・皮膚に良い(tvacya)
・辛味のように作用する(kaṭupouṣṭika)
・創傷治癒作用(kṣatahara)
【適応(ローガグナタ)】
便秘(vibandha)
ウダーワルタ(Udāvarta)(ワータの上衝により尿便屁が出ない)
口渇(Tṛṣṇā)
灼熱感(Dāha)
昏迷(Saṁmoha)
熱感(Santāpa・主に感覚器が熱く感じて精神的にもイライラすること)
咳嗽(Kāsa)
呼吸困難(Śvāsa)
嗄声(Svarabheda)
肺結核/血胸(Uraḥkṣata)
出血性疾患(Raktapitta)
不正性器出血(Raktasrāva)
悪液質/羸痩(Kṛśatā)
肺結核/ひどい衰弱(Śoṣa)
衰弱(Daurbalya)
消耗性疾患(Kṣaya)
精子減少症(Śukradaurbalya)
子宮機能低下(Garbhāśayadaurbalya)
皮膚病(Tvacāroga)
ワータピッタ性疾患(Vātapaittika vikāra)
心不全(Hṛddaurbalya)
痛風(Vātarakta)
血液性疾患(Raktavikāra)
排尿困難(Mūtrakṛcchra)
排尿時灼熱感(Mūtradāha)
尿の異常(Mūtradoṣa)
脳機能低下(Mastiṣkadaurbalya)
アルコール依存症(Madātyaya)
黄疸(Kāmalā)
貧血(Pāṇḍu)
目の病気(netravikāra)
【薬用部位】
果実
【用量・用法】
粉末:10-20g
搾り汁:20-50ml
薬用酒:5-10ml
【含有化合物】
sugars
Acids
Gum
Tannin
Tartaric acid
Citric acid
Racemic acid
Malic acid
KCl
NaCl
K2So4
Tartrate of lime
Mg
Al
Fe
Albumin
Tannic acid
【使用例(āmayikaprayoga)】
・ワータ、ピッタ性の口渇に対して冷やした葡萄ジュースが良い
・全ての種類の咳嗽に対して干し葡萄50粒、長胡椒30粒、48gの砂糖を混ぜて蜂蜜または牛乳または牛糞の搾り汁(!)と一緒に飲むと良い
・発熱に対してドラークシャーとアーマラキージュースを飲ませると良い
・過敏性腸症候群に対して発酵させたドラークシャーとサトウキビとデーツの搾り汁がよく効く
・黄疸と貧血に対してドラークシャーとアーマラキーのジュースを飲み物として与えると良い
【処方例・主な適応】
ドラークシャーリシュタ(Drākṣāriṣṭa)・肺結核、咳嗽、呼吸困難
ドラークシャーサワ(Drākṣāsava)・貧血、痔疾
ドラークシャーディグルタ(Drākṣādi ghṛta)・貧血、黄疸
ドラークシャーディレーハ(Drākṣādi leha)・ピッタ性咳嗽
ドラークシャーディクワータ(Drākṣādi kwātha)・ワータ性発熱
【注意・禁忌】
特になし
【1行まとめ】
向知性目によく筋精液を増すベスト果物
【臨床小話】
ドラークシャーアリシュタは臨床でよく用いられます。カルマにさまざまな良い効能があり、チャラカの「アンタがナンバーワン」シリーズで、最も体に良い果物。として名前が挙がっています。
カルジューラディマンタの原料の一つでもあり、カルジューラディマンタはアル中の人がアルコールを絶っている際に飲むと良いとされています。ドラークシャーにはアル中にも効果があるからですね。
疲労回復生薬十選にも選ばれています。