アーユルヴェーダで頭を良くする〜脳の健康を保つ向知性薬 (medhya dravya)等〜

 (以前noteのほうへ投稿した記事の再掲です。一部加筆しています。以前の稿はサラスワティマントラでワンフレーズ抜けてました。すみません。1週間職場に缶詰になってしまったのでまた更新が滞りますが本当にすみません。)

ずーーーっと書きたくて温めてきたネタです。

 脳の健康を保ち、記憶力を増す、素敵な方法や薬がアーユルヴェーダにはたーっくさん、あります。もう、こんなことなら暗記地獄の試験前、国試前の医学生の頃に知りたかったよ〜_(´ཀ`」 ∠)_

と思いますが、受験生、ブレインフォグ、有機溶剤系シェディングに晒されての記銘力低下、なんだかこの頃人の名前が出てこないわ。と言った年齢相応か病的か悩む感じの物忘れ、ガチの認知症、毒チンによるターボヤコブ病。なんかにも試してみて頂きたいなと思って書いてみます。

 お隣、古代中国では科挙という苛烈な暗記を必要とする試験がエリートになるための登竜門として存在していて、漢文(の白文)で書かれている四書五経(論語・孟子・大学・中庸、易経・詩経・書経・春秋・礼記)をいくつ覚えられたか、という凄まじい暗記量(全部で四十三万字だそうです…)が必要とされていました。

 ノーベル賞学者の湯川秀樹博士の伝記を子供の頃に読みましたが、博士は子供の頃、お爺さんにこの四書五経の白文の暗唱をさせられたそうで。 戦前の日本人の元士族も、日本と支那の知識階級が受ける教育としては似通っていたわけですね。<b  インドも知識階級、ブラーミンの人たちは紀元前千年〜紀元前五百年の間に編纂された宗教文書である「ヴェーダ」を幾つ暗記出来たか、でその人の優秀さを顕示するようなところがありました。

 アーユルヴェーダもその「ヴェーダ」の一つですけれども、頭を良くする処方を飲むとヴェーダが幾つ暗記できる、といった効能?売り文句?が書かれていたりもします。

 わたしが留学したインドでも、代々続く医者の家の子供、殊に跡取りの長男君は入学前に既にアーユルヴェーダの古典書を丸ごとだったり、重要な章だけだったりと様々でしたが、医者であり師匠でもあるお父さんに仕込まれて暗唱出来るようになっていることが多かったですし、インド全土や州ごとに古典の暗唱大会が開かれていたりしていました。そんな訳で現代インドにおいても古典書丸暗記。は未だ現役の学習法だったりします。

 さて、そんな暗記大国・インドに伝わる伝統薬、頭を良くする薬の教科書的記載からまずは見ていきましょう。

 メッディヤドラビヤ{medhya dravya(英語で言うとnootropic drugs)、向知性薬}について

メッディヤドラビヤとはメッディヤカルマを持つ薬のことです。

メッディヤカルマとはメッディヤ、向知性(脳の認知力を高める)作用のことです。

メッディヤの定義としては、「メーダもしくはブッディーに有益を与えるもの」となります。

 メーダはmedha, でアーユルヴェーダが言うところの7つの体組織の一つである、マッジャーダートゥ(majjā dhātu)と同義の「骨髄、脊髄」といった意味もあり、「霊性」「把握する力」「叡智」「分別」「知性」という意味もあります。

 マッジャーダートゥは日本語では便宜的に「骨髄」と訳されていますが、bone marrowだけではなく、ここには脳神経系も含まれます。メーダとブッディーも同義語とされていますが、ここで言うメーダは「叡智」と思ってもらって良いでしょう。

 ブッディーは「知性」と訳されることが多いです。ブッディーは、実際には3つに分けられます。

1)ディー(dhī)=グラハナシャクティ(grahaṇa śakti)、把握・習得する力

2)ドゥルティ(dhṛti)=ダーラナシャクティ(dhāraṇa śakti)、記憶を保持する力

3)スムルティ(smṛti)、記憶を思い出す力

 例えるなら、アマゾンとかの巨大流通倉庫があったとして、それが「脳」であるとすると、メーカーから送られてきた最新式の扇風機の製造年、型番、色、メーカー、価格なんかを把握、ラベルするのが「ディー」の役目で、「家電製品」コーナーに収納してラベルを貼って買い手が現れるまで保管しておくのが「ドゥルティ」、買い手が現れたら「家電製品」コーナーに到達してラベルを確認して倉庫から取り出してくるのが「スムルティ」といったところでしょうか。

 メッディヤの同義語にマスティシュカバルヤ(mastiṣka balya)、マスティシュカナーディーバルヤ(mastiṣkanāḍībalya)、ナーディーバルヤ(nāḍībalya)などがあります。

 マスティシュカは脳の意味です。ナーディーは脈管という意味もありますが広義では管状構造物を指すので、この文脈では「神経」です。バルヤは「力を与えるもの」の意ですから、脳や神経に力を与えて強めるもの。ということですね。

 メッディヤは主に心に関与し、脳に力を与えます。

 メッディヤはプラヴァーワ(特異作用)性であると言われています。というのは、通常のラサ(味)、ヴィールヤ(効力)、ヴィパーカ(消化後の味)のルールに当てはまらない作用だからです。

 さて、脳組織には3種類のドーシャのサブタイプが関わっているので、ここで簡単に3つのドーシャのサブタイプについてまとめておきます。

1)ワータのサブドーシャ 

2)ピッタのサブドーシャ

3)カファのサブドーシャ 

体の中での役割ごとにサブドーシャを図示するとこんな感じです。↓

ランジャカピッタだけが古典により主座が違うんですよね。

外科学の古典書であるスシュルタ・サンヒターではヤクルト(肝臓)

内科学の古典書であるチャラカ・サンヒターとスシュルタ・サンヒターの良いとこ取りであるアシュタンガ・フルダヤムとアシュタンガ・サングラハの著者であるワーグバタさんはアーマーシャヤ(≒胃)

三小古典の一つ、シャーランガダラ・サンヒターの著者であるシャーランガダラさんはフルダヤ(心臓)

多分どれも正しいんじゃないかな、と思います。easy ayurvedaさんで言っている通り↓、

https://www.easyayurveda.com/2018/12/19/ranjaka-pitta/#location

胃でランジャカピッタが作られて、肝臓に蓄えられて、心臓から全身に分布。するのではないかなー、と。上記の表ではスペースが限られていたのでチャラカ説を採用して胃、としか書いてませんが。

ちょっと脇道にそれましたが、そんな訳で、脳や頭部周りでは

プラーナワータ(PV)、サーダカピッタ(SP)タルパカカファ(TK)

の関与が大きい訳です。もっと細かく言うと、トリドーシャと脳との関係は、

ワータドーシャ

プラーナワータ→ブッディ(知性)の働きをコントロールする

ウダーナワータ→過去の経験を思い出す手助けをする(スムルティを助ける)

ピッタドーシャ

サーダカピッタ→メーダ(霊性)を促進

カファドーシャ

自然状態では、タルパカカファとアワランヴァカカファが知恵と知性を授ける。カファはまた、精神的不安定を調整する、ドルティのより良い機能をも担当しています。

メッディヤカルマ、向知性作用を持つ生薬の中には効力(ヴィールヤ)が冷性のものと温性のものがあります。

温性向知性薬の中で、アーシュ(=アシュカーリとも言い、「素早い」という性質を表しています)とティークシュナ(日本語では鋭性と訳されることが多いです。鋭さ、対象を「貫通」し、カファを減らす力を持っています。知性をも「鋭く」するので習い事、集中、理解を向上させる性質です。)の2つの性質は、刺激されることで心のサットヴァグナ(3種類ある心の性質の一つで、純粋さ・知識・調和を表しています。通常「純質」と訳されることが多いです)が刺激され、知識の獲得と想起(つまりディーとスムルティ)を助けます。

 古典書に書かれたピッタドーシャの性質にアーシュは入ってはいませんが、どちらかというとピッタはワータほどではありませんが「素早い」ほうです(というか3つのドーシャで遅いのはカファくらいです)。

 火が広がるのは(条件が整えば)早いですし、ピッタの人の蕁麻疹なんかは広がるのが「早い」ですよね。つまり、温性向知性薬はその温性でピッタドーシャを増大させる→サブタイプのサーダカピッタも増大させる→ピッタの性質であるアーシュやティークシュナも増加する→アーシュとティークシュナが心の純質を刺激する→(純質が象徴する)知識の獲得と想起が促進される、ということになります。要は習得する力と想起する、思い出す力はサーダカピッタの強さ依存ということですね。

 一方の冷性向知性薬はどうでしょうか。冷性は同じ性質を持つカファドーシャを増大させます。するとカファのサブドーシャの一つで、頭部に位置するタルパカカファも増大することになります。タルパカカファは脳や神経や感覚器を栄養するのが役割で、心の安定にも寄与します。カファは地+水の元素から成りますから、水の冷たさと同時に大地のような頑丈さ、安定性といった性質も持ちます。脳や神経を栄養し、「安定」させると蓄えた知識の「保持」も安定しますから、冷性向知性薬はカファドーシャ、ことにタルパカ・カファを増大させることにより知識の保持、つまりドゥルティを助けます。

古典書におけるメッディヤの実際

 アーユルヴェーダで最も権威のある内科学の古典書、チャラカ・サンヒター総論25章には「最上の向知性薬はシャンカプシュピー」

であると書かれています。

そして治療編1章の「若返り療法」の章でメッディヤラサーヤナ(脳を若返らせる)の処方として挙げられているのが、

マンドゥーカパルニー(ツボクサ):全草の搾り汁・10mlを非加熱蜂蜜と

ヤシュティマドゥ(甘草):根の粉末・3gを牛乳と

シャンカプシュピー(チョウマメ): 全草のペースト・10gを牛乳と

グドゥーチー : 茎の搾り汁・10mlを非加熱蜂蜜と

一緒に飲むと良い

と言われていて、この4種類です。この4つは鉄板です。日本でも入手できますね。マンドゥーカパルニーはもだま工房さんでツボクサの名で売られていますし↓

https://tubokusa.com/index.php?%E5%95%86%E5%93%81%E7%B4%B9%E4%BB%8B#content_1_4

ヤシュティマドゥ(スペインorヨーロッパカンゾウ)はアロマセラピーのお店や漢方生薬として調達出来ますし↓

https://item.rakuten.co.jp/herbalk/596685/#596685

シャンカプシュピーの亜種の一つであるチョウマメはバタフライピーの名前で売られてますし↓

https://jp.iherb.com/pr/wilderness-poets-blue-butterfly-pea-flower-powder-3-5-oz-99-g/88884?utm_campaign=1100l266838&utm_medium=affiliate&utm_source=x-partners

グドゥーチーはiHerbsさんでもヒマラヤ製薬の製剤がありました↓

https://jp.iherb.com/pr/himalaya-organic-guduchi-60-caplets/3720

(個人的にはアイハーブのバタフライピーは牛乳と一緒に飲まなかったせいかもしれませんが2週間飲んであまり効き目は感じませんでした。学名がClitorea ternateaではなくてEvolvulus alsinoidesじゃないと効かないのかも???ebayには取り扱いがありましたが↓

https://www.ebay.co.uk/itm/315265138170

個人的に利用したことのないサイトなのでご利用は自己責任でお願いします。ツボクサと混ざっていて構わないのでしたら、いっちゃさんにシャンカプシュピー入りの錠剤もありました↓

https://icchastore.myshopify.com/products/brahmi_bati_tansukh?_pos=1&_sid=e1d1ae29e&_ss=r

 

 飲む回数は1日2回、早朝空腹時と、日が暮れてから夕食前2〜3時間前(例えば日没が18時で夕食が21時なら飲むのは18時から19時の間)が良いとされています。まあこれらは「若返り療法」の項に記載されているので、原則として浄化療法(パンチャカルマ)を受けてから、お掃除が終わってきれいになった体になってから摂取するのが基本です。

 メディヤ・ラサーヤナの作用は、ニューロンと神経伝達物質を使った現代の神経生理学で説明することができます。多くの研究が、メディヤ ラサーヤナがコリン作動性受容体とGABA作動性受容体を調節することによって、学習、記憶、注意力を改善することを実証しています。神経細胞は、その抗酸化特性によって過剰な興奮やエネルギー枯渇から保護されるのです。<br>興奮性神経伝達物質と抑制性神経伝達物質の適切な比率を維持することで、神経調節物質の働きを助けます。向知性薬は、脳内の神経化学物質(神経伝達物質、酵素、ホルモン)の利用可能性に影響を与えたり、脳への酸素の流れを誘導したり、ニューロンの成長を促したりすることによって機能すると考えられています。

 向知性薬は、神経伝達物質、特にアセチルコリンのレベルを上げ、脳への血流を促進し、脳への酸素と栄養の供給を改善し、記憶と脳機能を助けます。

マンドゥーカパルニーのアーユルヴェーダと現代医学的作用機序)

マンドゥーカパルニーは苦味、冷性、甘い消化後の味で余剰なカファとピッタを削減します。

苦味は空と風元素から成り、軽い性質を持ち消化力を増してアーマ(未消化物から出来る毒素)を消し、スロータス(あらゆる経路や管状構造物のこと)を浄化するという作用から向知性作用を発揮します。マンドゥーカパルニーは効力冷性なのでタルパカカファとアワランバカカファ両方を増し、それ故にダーラナシャクティ(記憶保持力)を増加させます。

マンドゥーカパルニーはmedacoside, asiaticoside, medacassoside, Asiatic asid, triterpenic acidsが主な成分です。これらは神経保護作用に加えて行動学的効果も有します。脳の発達促進作用もあります。学習と記憶を向上させる神経基盤は、樹状突起の樹状化であると考えられています。BrahmosideとBrahminosideは中枢神経刺激作用を担っています。これらは主に海馬のCA3ニューロンの樹状突起の樹状化を促進することによって働いています。

ヤシュティマドゥ(甘草)のアーユルヴェーダと現代医学的作用機序)

ヤシュティマドゥのプラバーワ(特異作用)が向知性作用を引き起こします。ヤシュティマドゥの「ṣadindriya prasādanīya[シャディンドリヤプラサーダニーヤ・6つの感覚器(視覚聴覚嗅覚触覚味覚及び思考)を栄養する作用という意味]」が向知性作用です。甘味により心(マナス)と知性(ブッディ)が栄養されます。油性で甘味で甘い消化後の味というヤシュティマドゥの特質は、ワータドーシャの動性(動き回る性質)を調整することにより心と知性の機能に影響を及ぼしているのです。

グリチルリチンがヤシュティマドゥの主たる有効成分で、グルコースの生物学的利用能を高め、脳の活動を改善します。強力な抗酸化物質であるフラボノイドの存在により脳への酸化による損傷を軽減し、それによって脳機能を改善します。また、アセチルコリンエステラーゼ阻害活性もあり、学習と記憶に重要な中枢のコリン作動性経路における神経伝達物質のアセチルコリンの作用と持続時間を高めます。

 ヤシュティマドゥは認知症において強力な記憶増強作用を示し、(認知症治療の研究の為に、人為的に認知症を引き起こす為に用いられるムスカリン受容体拮抗薬の一種である、)スコポラミン誘発性認知症の学習と記憶を改善します。

 グドゥーチーのアーユルヴェーダと現代医学的作用機序)

 グドゥーチーは効力温性なのでマノワハスロータス(心の通り道)からタマス(心における3つの気質のうちの一つで惰質とか鈍質とか暗質などと訳されることが多く、混沌、暗愚を表すので頭が良くなる為には少ないほうが良い気質ですね)と悪化したカファドーシャを除去することによって作用します。温性なので(同じく熱性を持っているので)パーチャカピッタも増強されます。

 パーチャカピッタはアーローチャカピッタとサーダカピッタの働きを支配し、ブッディ(知性)とメーダ(叡智)を高めます。

 グドゥーチーの水溶性根抽出物は学習と記憶に関与する神経伝達物質の活性を変化させる神経調節物質または神経細胞樹状突起成長刺激因子の放出を刺激する可能性があり、それによって学習と記憶の強化に寄与します。

 研究によると、グドゥーチー(T. cordifolia)は海馬のニューロンを維持することにより正常な学習過程を保護します。海馬は学習と記憶の重要な中枢であるため、海馬を損傷から守ることは認知過程の保護に役立ちます。

シャンカプシュピーのアーユルヴェーダと現代医学的作用機序)

 シャンカプシュピーは渋味辛味苦味冷性で、ワータドーシャを増大させることによりプラーナとウダーナワータも増大しブッディーの働きをコントロールし過去の経験を思い出すのを助けます。辛味と油性はピッタを増大させ、引いてはサーダカピッタを増すことで知識の獲得と想起を促進します。消化後の甘い味と油性、粘性、重性といった性質及び効力冷性はカファドーシャを悪化させ、引いてはタルパカカファをも増やし、獲得した知識の保持を助けます。

 実験モデルにおいて、シャンカプシュピー(を含む多種生薬製剤)は社会的隔離ストレスによるペントバルビトン誘発睡眠の開始時間の延長と減少を有意に回復させ、総運動量を増加させ、ストレス誘発抗侵害受容性を増加させました。

 シャンカプシュピー、ブラーフミー、ワチャーを含む製剤は精神遅滞に役立ち、シャンカプシュピー、サルパガンダー、ゴークシュラを含む製剤は不安障害に有効であることが示されています。

 またシャンカプシュピーは闘争逃走反応を惹起するストレスホルモンであるアドレナリンとコルチゾールの体内生産をコントロールすることによってリラックスさせるとも言われています。

一方、外科学の古典書であるスシュルタ・サンヒター治療編28章の「知性を増し寿命を伸ばす若返りの章」では、

白、黒両方のバークチー

マンドゥーカパルニー(ツボクサ

ブラーフミー

ビダンガ

アーマラキー

ハリータキー

ギー

ワチャー(菖蒲)

スワルナ(金)

ヤワ(六条大麦

ピッパリー(長胡椒/ヒハツ)

シャターバリー

ヤシュティーマドゥ(甘草)

が向知性薬として列挙されています。単独生薬では向知性作用を持たないにも関わらず、組み合わせて使うと向知性作用が期待出来る薬としては、

チトラカ(Plumbago zeylanica)

ハリドラー(ターメリック/ウコン)

などが挙げられています。

 そして同じスシュルタ・サンヒターの身体編10章の第45条では、

ジャターマーンシー

マリーチャ(黒胡椒)

ドラークシャー(黒干し葡萄)

が新生児〜幼児を賢く育てるエリクサーの一材料として書かれています。妊婦さん、お子さんを秀才に育てたい幼児を抱えるお母さんからするとぜひ知りたい!と思われるかもしれませんが日本で手に入らない生薬が結構多いのでここでは割愛します。

 脳の若返り、記憶力向上レシピの中から日本でも入手可能な材料が多く使われている処方を抜き書きしてみます。

◆浄化療法(パンチャカルマ)でまずは体をきれいにする。その後、マントラを1000回唱えてからマンドゥーカパルニーの搾り汁と胡麻を牛乳の後で飲み、食事は牛乳とギーを入れて炊いたご飯を食べる。これを3ヶ月続けると百年元気に生きて記憶は保持出来て頭は良くなり、神様のように輝いた顔色になる(Su. Chi. 28/4)

(マンドゥーカパルニーはもだま工房さんで扱っています。新鮮な全草の搾り汁(スワラサ、と言います)が理想的ですが、スワラサは現地インドであってもオールシーズン利用出来る訳ではないです。その場合の代替法としては、乾燥粉末に水を加えて擦って作ったペーストを布で包んで絞って濾したもので代用出来ますが、ハーブ粉末の消費期限は開封しなくて2年、開封してしまうと2〜4ヶ月であることに注意が必要です。)

◆浄化療法でまずは体をきれいにする。その後ブラーフミーの搾り汁を、適切なマントラを1000回唱えてから飲み、その後夕食にお粥に塩を入れずに食べる。1週間続けると記憶力が向上し、知的能力が拡大し、顔色が非常に美しくなる。

2週間続けると古い忘れていた記憶も思い出し、どんな本でも書ける技能が加わる。

 3週間続けると心や体にある全ての不吉な兆候が取り除かれ、知恵の女神の化身にされる。あらゆる種類の知識が流れ込んできて一度聞くだけで再現出来、500年生きることが出来る。(Su. Chi. 28/5)

◆浄化療法でまずは体をきれいにする。その後菖蒲根のペーストをアムラの実の大きさくらいの量を牛乳に混ぜてから飲む。薬が消化されたらギーと牛乳で煮た粥を食べる。これを12日続けると聴力が良くなる。さらに12日(つまり24日後)摂ると記憶力が良くなる。さらに12日続けると(つまり36日後)100の単語を一度に覚えられるようになる。さらに12日続けると(つまり48日後)全ての罪が消え失せ、ガルーダ(ヒンズー教でヴィシュヌ神の乗り物である神鳥)のような非常に良い視力を授かり、地上で100回の夏を経験する(つまり100歳生きる)。(Su.Chi. 28/7)

(一応「菖蒲根」として漢方や中医学でも扱われているのですが、必ずしもワチャーことAcorus calamusとは限らず、石菖ことAcorus gramineusが混ざっていることもあるらしいので、漢方薬局から買う際は学名をしつこく確認することと、あるいはアマゾンインドなどから輸入するのも一つの手かと思います。↓

https://www.amazon.in/s?k=Acorus+calamus+vacha&crid=2EOQJVBLIIZPY&sprefix=acorus+calamus+vacha%2Caps%2C596&ref=nb_sb_noss_2

まあ、本を注文してお金だけ盗られてモノが来なかったことのあるアマゾンインドなのでご利用の際は期待しすぎないで下さい)

◆4kgの六条大麦を粉末にして(非加熱)蜂蜜とピッパリー(長胡椒のこと。SB食品からヒハツの名でスパイスとして売られています)

https://www.sbotodoke.com/shop/g/g15778

と一緒に飲むと学習能力を増す。(←日本でも入手しやすい食品トリオ、大本命!!!)

(↑一気に4キロなのか分割して良いのか総量が4キロということなのか、よくわかりませんが、まあ一気に。だとお腹を壊しそうなので上の他のメッディヤラサーヤナのやり方を見るに、省略されていますが浄化療法をして(知の女神サラスワティー神などの)しかるべきマントラを唱えてから3週間くらいかけて、分割して摂るのが無難だと思います。それか日常的に麦飯を炊く時にヒハツを入れちゃって、蜂蜜は加熱すると毒になるのでヒハツ入り麦飯を食べ終えたら蜂蜜を舐めるとか?)

 ダイエットしつつ頭も良くなりたいわたしとしては主食を白米(夏だけ)5割、六条大麦の米粒麦4割、1割キヌア。にして炊いています。大麦は全体の4割くらいがおにぎりにするには上限な感じです。

https://item.rakuten.co.jp/ryoshokushop/gy004

マントラは、サラスワティヴィディヤマントラをお勧めします。

サンスクリット語表記のマントラ)

सरस्वति नमस्तुभ्यं वरदे कामरूपिणि । विद्यारम्भं करिष्यामि सिद्धिर्भवतु मे सदा ॥

アルファベットに直したマントラ)

Sasasvati namastubhyam varade kaamarupini | Vidhyaarambham karishyaami siddhirbhavatu me sadaa ||

更に↑をカタカナ表記に直したマントラ)

サラスワティ ナマストゥビャム ワラデー カーマルピニ|ヴィダーランバン カリッシュヤーミ シッディルバワトゥ メー サダー ||

(※ サンスクリット語の“e”は短母音「え」ではなくて原則長母音で「えー」と伸ばします。

あとはbh, dhの部分は単純なb, dではなくてh部分を意識して気持ち、息を吐き気味に乗せるとそれっぽくなります。下に動画を載せておくので良く聴いて覚えてください。↓

日本語訳)祝福を下さり願いを叶えて下さるサラスワティ女神にご挨拶申し上げます。私に学識と知性とをお授け下さい。|<私は教育を受け始めたので叡智に到達する必要があるのです。||

サラスワティヴィディヤマントラの利点)

・コミュニケーション能力、知性が向上し学問に集中出来るようになる

・サラスワティマントラには誤報虚報と誤解を消す力がある

・学生に対して意志の力と決定力を増す力がある

・詩人、作家、大道芸人などに新たな成功の頂点に立つのを助ける(サラスワティー女神は日本では弁財天としても知られています)

唱え方)

北を向いて毎朝12〜24回唱える。殊に学生に良い。(ラーマチャンドラ・タントリー先生は最低108回、みたいなことをおっしゃっておられましたが。わたしは通勤途中でガネーシャマントラを108×5回唱えるというヒンズー教徒からするとわりと罰当たりなことをしていますがそれでも唱えていると何か「守られてる」感があるので効いてるのだと思います。というか日本に帰って唱えなくなったら夢にガネーシャ様が出てこられたので、あ、これは日本でもサボるな、ってことだな、と思って上記の罰当たりな方法に落ち着きました。マントラはかなり効くのに、時間だけかかりますがお金はかからないのに、実践している日本人が少ないのは残念なことです。上記マントラの耐久動画は女性の綺麗な声ですので、お勉強の際のBGMにしてもよろしいかと。)

◆非薬剤的医療介入(Buddhi medhākara gaṇa,頭を良くする行為。Su. Ut. 28/27)

・勉強を続けること

・他のテーマでも議論する

・尊敬できる分野の知識を持つ学者と一緒に住む

(これは「行動」で頭を良くする方法です。勉強を続けること。それが大事。)

◆冷性向知性薬まとめ

※1:ヨーガワーヒとは、

・薬の有効成分を遠く離れた利用部位まで運び、

・薬の性質や作用を強め。

・7つの体組織に薬理学的性質を運ぶ触媒のように働き、

・副作用を減らし、非経口投与された薬剤を回避すること。

運び屋+効力増強、はアヌパーナに似ていますが、副作用減弱まで言及されているところがヨーガワーヒです。

◆温性向知性薬まとめ

参考文献、サイトなど)

1)Dravyaguṇa VijNnāna Basic Principles By Prof. D.S. Lucas

2)&nbsp;&nbsp; Dravyaguna Vijnyana AYURVEDIC MEDICINAL PLANTS By Prof. Dr. A.P. Deshpande & Prof. Dr. Subhash Ranade (絶版)

3)Review article on the role of Medhya Rasayana : Enhancing the Intellectual Power

By Ramawat B.1*, Jangid V.2, Samagandi K.,Journal of Ayurveda and Integrated Medical Sciences, volume7, number5, June 2022

4)CARAKA SAṂHITĀ Vol.Ⅲ Cikitsāsthāna By R.K.SHARMA & BHAGWAN DASH

5)SUŚRUTA SAṀHITĀ OF MAHARṢI SUŚRUTA With English Translation of Text and Dalhana’s Commentary with Critical Notes Vol-Ⅱ (Nidāna, Śārīra and Cikitsā Sthāna)By Prof.Dr. Vasant C. Patil & Dr. Rajeshwari N.M.6) Ayur Times “Medhya rasayana (Nootropic &amp; Cognitive Enhancers)

7) Astrotalk “Saraswati Mantra : Meaning, Significance and Benefits

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