☆アムラの実と葉

★アムラの実・生と乾燥したもの

☆アムラの花

【学名】
Phyllanthus emblica
【科】
コミカンソウ科(Phyllanthaceae)
【同義語・異名】
amalā(アマラー):老廃物を取り除くことにより体を浄化する
āmalakī(アーマラキー):酸味を優位に持つもの/体から全ての老廃物を取り除くもの/全てのドーシャを宥めるもの
Amṛta(アムルタ)
Dhātrī(ダートリー)
dhātrīphalā(ダートリーファラー):体組織を促進する/母のように全ての病気から守る
emblic myrobalan(英語名)
Gayatrei(ガヤトレイ)
indian gooseberry(英語名)
jātīphalarasā(ジャーティーファラサー):果実のジュースはジャーティーファラ(ナツメグ)のように有用である
Kāyasthā(カーヤスター)
kolam(コーラム):完熟果実の重さは約1kola(重さの単位の一つで約5g )
koraṅgakā(コーランガカー):コーランガ地方から得られる
Pancarasa(パンチャラサ):5つの味を持つ
Rocani(ローチャニ)
ṣaḍrasā(シャドラサー):ショーダラニガントゥ(ニガントゥは平たく言うと生薬解説本のこと)はアーマラキーは六つの味を持つと言っている
śivam(シヴァム):シヴァ神のようにいつも縁起が良くて有益である
Śīta(シータ)
śītaphalam(シータファラム):冷性の薬物
śrīphalā(シュリーファラー):完熟果実は美しく見える
tiṣyaphalā(ティッシュヤファラー):実の成る季節は吉兆とされる
vayahsthā(ワヤハスター):人の若さを維持する
vayasyā(ワヤスヤー):寿命を伸ばすもの
vṛṣya(ヴルッシュヤ):男性の生殖能力又は生命力を増すもの
vṛttaphalā(ヴルッタファラー):果実は丸い形
アンマロク(和名)
マラッカノキ(和名)
油柑(和名)
【ガナ/クラ(古典における分類)】
ガナ)
チャラカ:vayasthāpana(老化遅延作用), virecanopaga(瀉下療法補助薬)
スシュルタ:Triphalā, parūṣakādi
ミシュラカ:triphalā、sugandhāmalaka、Dr. Lad’s 24dravya
クラ)
Eraṇḍakula
【ラサ(味)】
塩味を除いた酸味優位の5味(酸渋甘苦辛)
【グナ(性質)】
粗軽
【ヴィールヤ(効力)】
冷性
【ヴィパーカ(消化後味)】
甘
【プラヴァーワ(特異作用)】
無し
【ドーシャへの影響】
Tridoṣaśāmaka (トリドーシャシャーマカ、三つのドーシャを緩和する)
【スロトガーミトワ(経路・臓器・組織行性、親和性。特に作用する部位のこと)】
ドーシャ)ピッタ、カファ、ワータを緩和(酸味ではあるがピッタも緩和)
ダートゥ)ラクタ、メーダ、シュクラが主だが全てのダートゥに作用
マラ)プリシャ(便に対して緩下作用)
臓器)眼、脾臓、肝臓、肺
【カルマ(作用)】
若返り作用(rasāyana)
老化遅延作用(vayasthāpana)
延命作用(jīvanīya)
体力向上作用(balavivardhana)
疲労回復作用(śramahara)
全身の悪化ドーシャを除く(sarvadoṣahara)
向知性作用(Medha)
感覚器賦活作用、向知性作用(indriya-maṣtiṣkabalya)
目に良い(cakṣuṣya)
毛髪に良い(keśya)
味覚向上(rocana)
消化力向上(dīpana)
止渇作用(tṛṣāhara)
止嘔作用(chardighna)
緩下作用(anulomana)
収斂作用(stambhana)
膨張性下剤作用(sransana)
肝臓賦活作用(yakṛduttejaka)
脾臓保護作用(plihahita)
心保護・強心作用(hṛdya)
止血作用(śonitāsthāpana・raktastambhaka)
血液浄化作用(rakktaprasādana)
抗浮腫作用(śothahara)
止痒作用(kaṇdughna)
美肌作用(tvacya)
癒合促進作用(sandhānīya)
性行為後に満足感を与える(vṛsya)
強精作用(vajīkaraṇa)
増精作用(śukrakara)
利尿作用(mūtrala)
尿量正常化作用(mehahara)
解熱作用(jvaraghna)
灼熱感を治す(dāhapraśamana)
抗痙攣作用(grahasthāpana)
出血性疾患を治す(raktapittaśāmaka)
疝痛を治す(sūlapraśamana)
難治性皮膚病に良い(kuṣṭhaghna)
【適応(ローガグナタ)】
脳機能低下(mastiṣkadaurbalya)
神経衰弱(nāḍidaurbalya)
感覚器機能低下(Indriyadaurbalya)
視力低下(dṛṣtimāndya)
消化器病(udararoga)
痔(arśa)
逆蠕動/気の上衝(udāvarta)
便秘(vibandha)
味覚障害(aruci)
消化力低下(agnimāndya)
呑酸(amlapitta)
腹部腫瘤(Gulma)
嘔吐(Vamana)
下痢(atisāra)
疝痛(annnadravaśūla)
肝臓・脾臓病(yakṛta-plīhavikāra)
貧血(pāṇḍu)
血液の病気(raktavikāra)
出血性疾患(raktapitta)
心臓病(hṛdroga)
咳(kāsa)
呼吸困難(śvāsa)
肺結核(yakṣma)
肺結核による消耗(śoṣa)
尿量異常性疾患(prameha)
ピッタ性プラメーハ(paittika prameha)
排尿困難(mūtrakṛccha)
精液尿(śkrameha)
月経過多(pradara)
(白)帯下(somaroga)
子宮機能低下性疾患(garbhāśayadaurbalyavikāra)
子宮の灼熱感(yonidaha)
慢性熱(jīrna jwara)
衰弱(daurbalya)
(進行した結核などによる)消耗性疾患(kṣaya)
口渇(tṛṣṇā)
灼熱感(dāha)
ピッタ性疾患(pittavikāra)
浮腫(śotha)
外用)
眼病(netraroga)
髪の病気(keśavikāra)
頭部疾患(siroroga)
皮膚病(tvagvikāra)
【薬用部位】
果実
【用量・用法】
フレッシュジュース 10〜20ml
粉末 3−6g
【含有化合物】
アスコルビン酸(600mg /100g)
ガロタンニン
セルロース
カルシウム
【使用例(āmayikaprayoga)】
・フレッシュジュースを発熱、灼熱感、口渇、呑酸などに対して飲ませる
・眼病にフレッシュジュースを点眼
・粉末を一晩水に漬けた上澄みを洗眼水として用いると目に良い
・フレッシュジュースに非加熱蜂蜜を加えたものは糖尿病に良い
・茶匙半分のアーマラキーを等量のウコンと混ぜて与えても糖尿病に良い
・乾燥粉末をペースト状にして頭皮に塗ると頭、髪、脳の病気に良い
・乾燥粉末をフレッシュジュースと共に薬研で擦って乾燥させる。この工程を21回繰り返して得られた粉末3〜6gをギー又は非加熱ハチミツと共に摂取すると若返りに良い
・貧血と黄疸に粉末とローハバスマ(鉄の有機灰)を混ぜたものを投与する
・尿量異常性疾患(プラメーハ)にアーマラキーとハリドラー(ウコン)を投与する
・尿路感染症に茶匙半分のアーマラキーとゴークシュラの等量混合物を与える
・顔面のシミ、そばかすに対して未熟な果実を牛の尿に漬けこみ、その後山羊の乳と共に撞いたものを塗る
・痛風(ワータラクタ)に対してアーマラキーとハリドラー(ウコン)の煎じ液をハチミツと共に与える
・出血性疾患(ラクタピッタ)に対してアーマラキーの粉末にハチミツと砂糖を混ぜたものを与える
・呑酸症(アムラピッタ)に対してアーマラキー粉末、シャターヴァリー、砂糖の等量混合物にそれと等量のハチミツを混ぜ、牛乳かギーと共に投与する。このレシピは寿命を延ばし、目に良く、精力を増すのにも良く、チャトゥハサマ(Catuḥsama)の名で知られている。
・吃逆(ヒッカー)に対しアーマラキーとカピタのフレッシュジュースに胡椒粉末(ピッパリーチュールナ)を混ぜたものを投与する
・尿路疾患に対しアーマラキーの粉末を水で練ったペーストを膀胱の上に塗る
・疥癬に対してアーマラキーをココナツオイルと共に罹患部位に塗る
・嗄声に対しアーマラキーと甘草とシナモンを等量に混ぜたものの茶匙半分を茶匙1杯の蜂蜜と混ぜて飲む
【処方例・主な適応】
チャワナプラーシャ(cyavanaprāśa)・若返り
アーマラキーラサーヤナ(āmalakīrasāyana)・顔色向上、記憶力増進
ダートリローハ(dhātrīloha)・不消化、便秘、若返り
トリファラーグルタ(Triphalāghṛta)・眼病、白内障
ダートリヤリシュタ(dhātryariṣṭa)・貧血、黄疸、心臓病
トリファラークワータ(triphalākwātha)・発熱、咳嗽
ブルンガーマラキータイラ(bhrṅgāmalakī taila)・髪の毛の病気、眼の病気
【注意・禁忌】
妊婦、重篤な下痢には用いない
【1行まとめ】
眼血肺に特に良い若返り薬の王様
【臨床小話】
二回モデルナのワクチンを打ったドクターが、この果実の乾燥粉末に更にこの果実のフレッシュジュースを加え、乾燥するまで薬研で擦って作られたアーマラキー尽くしの錠剤を飲まれたら疲れが減り、便が出やすくなったとのことで、作用にも疲労回復、緩下作用と書いてありますが、本当に効くんだなあ、と嬉しくなりました。
わたし自身はインドにいる間はアーマラキージュースは必須の化粧水であり、点眼液でもあります。
目の痒み、ネトラカンドゥは放置すると緑内障になるとアーユルヴェーダでは言われています。
父と姉が緑内障持ちなので、家族歴有りということになりますが、このアムラジュース点眼のおかげでしょうか、わたしはお陰様で緑内障は発症していません。