63)チャンダナ(Candana)(白檀、サンダルウッド)

(特に病気とかはしていないのですが、ちょっと仕事が忙しくなってきたので更新頻度が減ると思います。すみません。)

☆マイソールの白檀の樹

☆白檀の花

☆白檀薬効部位心材の位置↓

☆白檀心材

【学名】

Santalum album

【科】
ビャクダン科(Santalaceae)

【亜種】

Bhāvaprakāśa Nighantuによると

1. śveta candana (Santalum album Linn)

2. rakta candana (Pterocarpus santalinns Linn)

3. pīta candana (Jateorhiza palmata / Coscinium fenestratum Colebr)

4. kucandana (Caesalpinia sappan ) 

の四種類があるが、臨床上1、2がほとんどであり、単にチャンダナ、と言った場合は1.のシュウェータチャンダナを指す。

【同義語・異名】

Bhadrakṣī(バドラクシー):木片は美しく心地よい

Bhadraśrī(バドラシュリー):心材は美しく有用である

Candradyuti(チャンドラデュティ):心材の欠片は美しく心地よい

Gandharājam(ガンダラージャム):芳香性物質の中で抜きん出ている

Gandhasāra(ガンダサーラ):心材は心地よい香りがする

Kṣīkhaṇḍam(クシーカンダム):この木はとても素晴らしく芳香を持つ

Malayaja(マラヤジャ):木はマラヤ領域(西ガーツ山脈)で育つ

Rājayogya(ラージャヨーギャ)

Sandalwood(英名)

Sarvapriya(サルワプリヤ)

Sarpavāsam(サルパワーサム):蛇が集まる木

Śiśira(シシラ):触れると冷たくて効力も冷性である

Śrikhaṇḍa(シュリカンダ):心材はラクシュミー女神を崇拝するのに用いられる

Śveta candana(シュウェータチャンダナ)

Tailaparṇikā(タイラパルにカー):葉は胡麻の葉に似ている/葉は油っぽくみえる

Tilaparṇikam(ティラパルニカム):葉は胡麻の葉に似ている/葉は油っぽくみえる

白檀(和名)

【ガナ/クラ(古典における分類)】
ガナ)
チャラカ: dāhapraśamana(灼熱感治療薬), angamardapraśamana(体痛治療薬)、 tṛṣṇānigrahaṇa(口渇治療薬), varṇya(顔色を良くする), kaṇḍūghna,(止痒薬) viṣaghna(解毒薬), tiktaskandha(苦味薬)

スシュルタ:sālasarādi, paṭalādi, sārivādi, priyaṅgvādi, guḍūcyādi, pittasaṁśamana

ミシュラカ:varārdhaka、āḍhyapuṣpaka、vāṭyapuṣpaka

       (いずれも白檀、サフラン、ワーリ(Pavonia odorata)の組み合わせで「第一花」のような意味合い。花が美しく芳香性もあって薬用植物としても優れている3つをまとめた呼称。Varārdhakaは3者の等量混合物、āḍhyapuṣpakaとvāṭyapuṣpakaはサフランだけ他2者の3倍混合した場合の呼び名で古典によって呼ばれ方が違うだけで同じものを指す)


クラ)
Candanakula

【ラサ(味)】
苦甘

【グナ(性質)】
粗軽

【ヴィールヤ(効力)】

冷性

【ヴィパーカ(消化後味)】




【ドーシャへの影響】
ピッタカファシャーマカ


【スロトガーミトワ(経路・臓器・組織行性、親和性。特に作用する部位のこと)】
ドーシャ: ピッタとカファを緩和する
体組織(ダートゥ):ラクタ、メーダ

老廃物(マラ):尿、便
臓器):膀胱、尿路、皮膚


【カルマ(作用)】

・過剰なカファを液体にして排出する(Kaphaniḥsāraka)

・カファの悪臭を減ず(Śleṣmapūtihara)

・若返り作用(Rasāyana)

・体力向上(Balya)

・心身に平穏をもたらす(Soumanasyajanana)

・向知性作用(Medhya)

・顔色を良くする(Varṇya)

・美肌作用(Tvacya)

・解熱作用(Jvaraghna)

・止嘔作用(Chardighna)

・アーマ燃焼+消化力亢進+吸湿作用(Grāhī)

・疲労回復作用(Śramahara)

・病的疲労を治す(Klamahara)

・心保護・強心作用(Hṛdya)

・血液浄化作用(Raktaśodhak)

・出血性疾患を治す(Raktapittaśāmaka)

・難治性皮膚病を治す(Kuṣṭhaghna)

・壊疽を治す(Kothapraśamana)

・抗炎症/抗浮腫作用(Śothahara)

・抗寄生虫作用(Kṛmighna)

・悪臭を治す(daurgandhyahara)

・体痛を治す(Angamardapraśamana)

・利尿作用(Mūtrajanana)

・発汗作用(Swedajanana)

・灼熱感を治す(Dāhapraśamana)

・止渇作用(Tṛṣṇānigrahaṇa)

・体熱感を治す(samtāpaśāntiprada)

・解毒作用(Viṣaghna)

【適応(ローガグナタ)】

内服)

衰弱(Daurbalya)

体痛(Angamarda)

顔色の異常(Varṇavikāra)

熱感(Santāpa)(dāhaとの違いは温度の上昇が体のみならず精神や感覚器にも及ぶ点)

静止時振戦(Bhrānti)

精神的熱意(Mānasika vyagratā)

嘔吐(Vami)

消化不良(Pācanavikṛti)

下痢(Atisāra)

赤痢(Pravāhika)

肺結核/ひどい衰弱(Śoṣa)

慢性咳嗽(Jīrṇakāsa)

疲労感(Śrama)

心不全(Hṛddaurbalya)

血液疾患(Raktavikāra)

出血性疾患(Raktapitta)

皮膚病(Carmaroga)

寄生虫疾患(Kṛmiroga)

過多月経(Raktapradara)

白色帯下(Śvetapradara)

淋病(Pūyameha)

精子尿症(Śukrameha)

排尿困難(Mūtrakṛccha)

膀胱炎(Bastiśotha)

灼熱感(Dāha)

口渇(Tṛṣṇā)

アルコール依存症(Madātyaya)

外用)

顔色の異常(Varṇavikāra)

目の病気(Netra roga)

丹毒(Visarpa)

皮膚掻痒症(Kaṇḍu)

難治性皮膚病(Kuṣṭha)

皮膚病(Carmavikāra)

臭汗症(Atisvedajanya daurgandhi)

灼熱感(Dāha)

【薬用部位】
心材

オイル


【用量・用法】
粉末:3-6g

オイル:5-20滴

煎じ液:50-100ml


【含有化合物】
volatile oil 2-6%

(sesquiterpene alcohol

α-santalol

β-santalol

Bergamotols

Lanceol

Nuciferol

Bisabolol

α-santalenes

β-santalenes

Santene

Santenol

Tetra-santenol

Santalic acid

Santalal

Santenone

Bergamonenes

α-curcumenes

β-curcumenes

γ-curcumenes

β-bisabolene

Organic acids)

Tannic acids

【使用例(āmayikaprayoga)】
・口渇に対してココナツ水と一緒にチャンダナを投与する

・嘔吐、灼熱感、口渇などに対してはアムラジュースと一緒にチャンダナを与えると良い

・白色帯下、過多月経、多尿症候群の悪臭に対してはチャンダナの煎じ液を用いる

・過多月経、白帯下、不正性器出血に対してはチャンダナ粉末を牛乳、ギー、砂糖、蜂蜜と混ぜたものを毎日摂ると良い

・血性下痢、灼熱感、口渇、多尿症候群に対してチャンダナを砂糖、蜂蜜と混ぜて米の研ぎ汁と一緒に与えると良い

・出血性疾患に対してウシーラ、カリヤカ、ロドラなどと等量のチャンダナと砂糖を米のとぎ汁と一緒に与えると内側の出血はすぐに止まる。

・呑酸症(アムラピッタ)に対してチャンダナ粉末とアーマラキー及び甘草の粉末と一緒に摂ると酸っぱいげっぷや不消化をコントロールするのに良い

・蕁麻疹(シータピッタ)はチャンダナ粉末をグドゥーチーの搾り汁と一緒に飲むと良い

・水疱瘡(マスーリカー)はヒルモチカの搾り汁とチャンダナのペーストをごく初期に混ぜて飲むと良い

・淋病(ウシュナワータ)はチャンダナ粉末を米の研ぎ汁で冷浸出させたものと砂糖を毎日摂ると良い

・尿閉、排尿時灼熱感、血尿に対してはチャンダナに氷砂糖、蜂蜜と混ぜて米の研ぎ汁と与えると良い

・何かの中毒の場合は心保護のためにチャンダナのペーストを心臓部分に塗ると良い

・チャンダナのオイルは排尿困難、腎臓病、皮膚病、寄生虫、カファ性疾患、膀胱炎、間欠熱に用いると良い

・切れ痔に対してチャンダナの煎じ液に乾姜を混ぜたものを与えると良い

・ピッタ性発熱に対してチャンダナの煎じ液に砂糖と蜂蜜を混ぜたもの又はチャンダナーサワを1日2回飲むと良い

・精液漏に対してアルジュナとチャンダナの煎じ液を用いると良い

【処方例・主な適応】

チャンダナーディタイラ(Candanādi taila)・灼熱感、発熱

チャンダナーサワ(Candanāsava)・排尿困難、精液漏

ダシャーンガレーパ(Daśāñga lepa)・腹部疝痛、難治性皮膚病、丹毒

チャンダナーディクワータ(Candanādi kvātha)・ワータピッタ性発熱

チャンダンバラーラクシャーディタイラ(Candanbalālakṣādi taila)・発熱、咳嗽、消耗性疾患

チャンダナーディチュールナ(Candanādi cūrṇa)・多尿症候群、慢性熱

【注意・禁忌】
特に無し

【1行まとめ】

苦味薬の中で最高の冷却効果を持つ、若返り向知性解毒強心薬で皮膚尿路に働く


【臨床小話】

BSDT大学ではどの体質の人にも使えるCBLオイルとして売っていた、チャンダンバラーラクシャーディタイラが有名です。ピッタ担当のCですね。

 精神的にも冷やしてくれるので、ジュワラ(発熱)にも良い薬です。ラサパンチャカとドーシャカルマからはピッタとカファを下げるのでワータは悪化させてしまうのか?痛みがある人には使えないのか?というように見えますが、カルマにアンガマルダプラシャマナがあるので使い方によると思います。

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