57)ビビータキー(Bibhītakī/Vibhītakī)(ベハダ)(温甘)

☆ビビータキーの木↑

★ビビータキーの葉と幼果↓

★ビビータキーの実↓

【学名】

Terminalia bellirica

【科】
シクンシ科(Combretaceae)

【同義語・異名】

Akṣā(アクシャー):種子は賭け事をするゲームの際にサイコロとして使われる

Bafuvīrya(バフヴィールヤ):広範な作用を持つ

Baheḍaka(バヘーダカ):バヘーダとして良く知られている

Bedda nut tree(英名)

Beleric myrobalan(英名)

Bhūtavāsā(ブータワーサー):動物たちは木陰に避難する

Bibhedaka(ビベーダカ):病を除き健康を維持する

Dharmadveṣī(ダルマドゥウェーシー)

Haryaksha(ハルヤクシャ)

Hāryo(ハーリョー)

Kalidruma(カリドゥルマ):サイコロとして使われるのでカリ(kali)が滞在していると見做される

Kalind(カリンド)

Kalkivṛkṣa(カルキブルクシャ)

Kalko(カルコ)

Kaliyugālaya(カリユガーラヤ):カリユガにはサイコロとして使われる

Karṇaphala(カルナファラ)

Karṣaphala(カルシャファラ):実の重さは1カルシャ(=20g)

Kāsaghna(カーサグナ);主にカファクシェーダナ(kaphakṣedana, サーマカファを体から削り取り排出する)として働くので咳嗽を軽減する

Kushalastusha(クシャラストゥシャ)

Madhujiva(マドゥジワ)

Romaharṣana(ローマハルシャナ)

Sanvartaka(サンワルタカ):すべての異常を緩和する

Tailaphala(タイラファラ):種子の仁は油分が多い

Telpuṣpak(テールプシュパカ)

Tilapuṣpa(ティラプシュパ)

Tuṣa(トゥシャ):病気を和らげ健康を維持する

Vāsanta(ワーサンタ):花は春に咲く

Vindhyajāta(ビンディヤジャータ):主にビンディヤ地方で育つ

【ガナ/クラ(古典における分類)】
ガナ)
チャラカ: jvaraghna(解熱薬)、Virecanopaga(瀉下療法補助薬)

スシュルタ:Triphalā, mustādi

ミシュラカ:triphalā(三果)、Dr. Lad’s 24dravya

クラ)
Harītakīkula

【ラサ(味)】


【グナ(性質)】
粗軽

【ヴィールヤ(効力)】

温性

【ヴィパーカ(消化後味)】


【ドーシャへの影響】
トリドーシャハラ(トリドーシャを排出するがカファに最も強く作用する)


【スロトガーミトワ(経路・臓器・組織行性、親和性。特に作用する部位のこと)】
ドーシャ: トリドーシャ
体組織(ダートゥ):マッジャー、ラクタ、シュクラ、ラサ、マーンサ

老廃物(マラ):便、髪
臓器):目、呼吸器


【カルマ(作用)】

内服)

・ワータピッタカファドーシャを緩和する(vātapittakaphaśāmaka)

・カファドーシャを排出する/去痰作用(śleṣmahara)

・体組織増加作用(dhātuvardhaka)

・知覚回復作用(vedanāsthāpana)

・目に良い(cakṣuṣya)

・声に良い(svarya)

・声と喉に良い(kaṇṭhya)

・毛髪に良い(keśya)

・固着したドーシャをスロータスから引き剥がし排出する(chedana)

・余剰ドーシャないし老廃物を消化が済んでいるいないに関わらず液状にして肛門から排泄する(recana )(半熟果実)

・消化力向上(dīpana)

・緩下作用(anulomana)

・止嘔作用(chardinigrahaṇa)

・アーマ燃焼+消化力亢進+吸湿作用grāhī (完熟果実)

・止血作用(raktastumbhana)

・抗寄生虫作用(kṛmighna)

・口渇を治す(tṛṣṇānigrahaṇa)

・灼熱感を治す(dāhapraśamana)

・増精作用(vājīkaraṇa)

・酩酊作用(mādaka)

外用)

・疼痛を伴う疾患を治す(vedanāyukta vikārahara)

・目に良い(cakṣuṣya)

・毛髪に良い(keśya)

・止血作用(raktarodhaka)

・皮膚に良い(tvachya)

・難治性皮膚病を治す(kuṣṭhaghna)

・抗浮腫・炎症作用(śothahara)

・創傷治癒促進作用(ropaṇa)

・止痒作用(kaṇḍūghna)

・打撲を治す(sadyovraạhara)

【適応(ローガグナタ)】
発熱(Jvara)

全身衰弱(Sāmānya daurbalya)

毛髪の病気(Keṡa vikāra)

目の病気(Netraroga)

結膜炎(Netrābhiṣyanda)

口腔疾患(Mukharoga)

歯の病気(Dantaroga)

鼻炎(Pratiśyāya)

下痢(Atisāra)

赤痢(Pravāhikā)

鼓腸(Ādhmāna)

嘔吐(Chardi)

痔疾(Arśa)

便秘(Vibandha)

咳嗽(kāsa)

呼吸困難(Śvāsa)

嗄声(Svarabheda)

喀血(Raktaniṣṭhīvana)

心臓病(Hṛdroga)

白斑(Śveta kuṣṭha)

寄生虫(Kṛmi)

若白髪(Palitya)

浮腫(Śotha)

丹毒(Granthi visarpa)

外傷(vraṇa)

ワータ性疾患(Vātavyādhi)

不眠(Anidra)

口渇(Tṛṣṇā)

尿路結石(Aśmarī)

尿異常(Mūtradoṣa)

インポテンツ(Klaibya)

【薬用部位】
果実

果実の外皮

種子

樹皮


【用量・用法】
粉末:3-6g

【含有化合物】
β-sitosterol

Gallic acid

Ellagic acid

Ethyl gallate

Galloyl glucose

Chebulagic acid

Termilignan

Thannilignan

Hydrocy-3’,4’-(methylenedioxy) flavan

Anolignan-B

Saponin

Bellericoside

bellericanin

【使用例(āmayikaprayoga)】
・全ての種類の咳嗽、呼吸困難に対してビビータキー茶匙半分、ピッパリーひとつまみ、氷砂糖茶匙半分を混ぜたものを飲むと良い

・下痢に対して実を燃やして塩と混ぜて投与すると良い

・全ての種類の(炎症性)浮腫に対してビビータキー粉末を米のとぎ汁で溶いたペーストは痛みと灼熱感を和らげるのに良い

・全種類の白斑症に対して黒い蛇を焼いて出来た灰とビビータキーオイルを混ぜたものを局所に塗ると良い

・角膜混濁に対してビビータキーの種子の仁を蜂蜜と混ぜたものをアイライナーとして用いると良い

・視力向上のためにごま油、ビビータキーオイル、ブルンガラージャの搾り汁とアサナの煎じ液を鉄製の容器で煮て作られた薬用オイルを点鼻すると良い

・丹毒に対してビビータキーの樹皮から作られた温かいペーストを局所に貼ると良い

・慢性に経過している創傷、潰瘍、切創、打撲に対してビビータキー粉末を水で溶いたペーストを定期的に貼ると良い

・ビビータキーの実を細断してカップ1杯の水で煮て冷めてから毎日マウスウォッシュとして使うと口臭、口腔内潰瘍、歯槽膿漏、歯痛に良い

・若白髪に対してビビータキーの種子と果肉から作った薬用オイルを塗ると毛髪の成長を促進し、白髪を予防して髪を黒くする

・乾燥したビビータキーの実の煎じ液を洗眼液として使うと結膜炎や眼球感染症に良い

・ビビータキー、アシュワガンダー、ヤシ糖を一緒に撞いて白湯と飲むとワータ性疾患における心症状に良い

・ビビータキーの種子の粉末をワインと混ぜてペースト状にして経口摂取すると全ての尿路疾患と結石に良い

【処方例・主な適応】

ビビータキーチュールナ(Vibhītakī cūrṇa)・呼吸困難

トリファラーカシャーヤ(Triphalā kaṣāya)・発熱、腹部疝痛

トリファラーグッグル(Triphalā guggulu)・痔瘻、浮腫

トリファラーディタイラ(Triphalādi taila)・毛髪の病気、頭痛

トリファラーディグルタ(Triphalādi ghṛta)・目の病気

ラヴァンガーディーワティー(Lavaṅgādī vaṭī)・感冒、アレルギー性鼻炎

【注意・禁忌】
ワータが著しく悪化している状態

重度の下痢か赤痢

妊婦

【1行まとめ】

目呼吸器毛髪に良いカファドーシャメインのトリファラーの一員


【臨床小話】

トリファラーの一員として広く使われていますがトリファラーの中ではワータ特効のハリータキー、ピッタ特効のアーマラキーと比べると一番影が薄いような…(ピンで使われる場面が少ない)。

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