42)クシュマーンダ(Kuṣmāṇḍa)(冷甘)(冬瓜)

☆花と葉

☆冬瓜の完熟実

☆冬瓜の種

【学名】
Benincasa hispida Cogn.

【科】

ウリ科(Cucurbitaceae)


【同義語・異名】

ブルハットファラ(Bṛhatphala):実は大きいサイズである

カルカティ(karkati)

カルコーティカ(Karkotika)

クンバファラ(Kumbhaphalā):実は水差しに似ている

クシュマンダキ(Kuṣmandaki)

クシルファラ(Kuṣirphala)

マハファラ(Mahaphala)

ピータプシュパ(Pītapuṣpa):花々は黄色い

プシュパファラ(Puṣpaphala):実は花の名残を持ち越す

ソーマカ(Somaka):効力は冷性

ソーマスルシュター(Somasṛṣṭā):実は水っぽい

スティラファラ(Sthiraphala):実は固い皮を持つ

スファラ(Suphala)

ワルリーファラ(Vallīphala)

ワルリファロッタマ(Valliphalottama):その実はウリ科の中で最上であると考えられている

White gourd melon(英名)

Winter melon(英名)

White pumpkin(英名)

トウガン(和名)

【ガナ/クラ(古典における分類)】

ガナ)

チャラカ) Śākavarga(野菜グループ)

スシュルタ:Śākavarga(野菜グループ)

クラ)
kośātakikula


【ラサ(味)】


【グナ(性質)】
軽油

【ヴィールヤ(効力)】



【ヴィパーカ(消化後味)】


【プラバーワ(特異作用)】

健脳作用



【ドーシャへの影響】
ワータピッタシャーマカ(ワータとピッタを緩和する)

サルワドーシャハラ(全ドーシャを削減する)


【スロトガーミトワ(経路・臓器・組織行性、親和性。特に作用する部位のこと)】
ドーシャ: ワータとピッタを改善しカファを悪化させる
体組織(ダートゥ):マーンサ、メーダ、ラクタ、マッジャー、シュクラ

老廃物(マラ):尿


【カルマ(作用)】

・若返り作用(Rasāyana)

・向知性作用(Medhya)

・鎮静作用(Mastiṣkaśāmaka)

・脳賦活作用(Mastiṣkabalya)

・催眠作用(Nidrājanana)

・体力向上(Balya)

・緩下作用(Anulomana)

・口渇を治す(Tṛṣṇānigrahaṇa)

・心保護・強心作用(Hṛdya)

・出血性疾患を治す(Raktapittaśāmaka)

・止血作用(Śoṇitāsthāpana)

・呼吸器を強くする(Phuphphusa balya)

・消耗性疾患(結核を含む)を治す(Kṣayahara)

・灼熱感を治す(Santāpahara)

・灼熱感を治す(Dāhapraśamana)

・抗寄生虫作用(Kṛmighna)

・癒合促進作用(Sandhānīya)

・筋量増加(Bṛṅhaṇa)

・利尿作用(Mūtrajanana)

・増精作用(Śukravardhaka)

【適応(ローガグナタ)】
頭部疾患(Śiroroga)

精神異常(Unmāda)

てんかん(Apasmāra)

脳機能低下(Mastiṣkadaurbalya)

記銘力低下(Smṛtihrāsa)

精神疾患(Mānasaroga)

発熱(Jvara)

ピッタ性発熱(Paittikajvara)

慢性熱(Jīrṇajvara)

便秘(Vibandha)

腹部疝痛(Udaraśūla)

呑酸症(Amlapitta)

十二指腸潰瘍(Pariṇāmaśūla)

(進行した結核などによる)消耗性疾患(Kṣaya)

肺結核(Rājayakṣmā)

肺疾患(Phuphusavikāra)

咳嗽(Kāsa)

呼吸困難(Śvāsa)

心臓病(Hṛdvikāra)

心不全(Hṛddarubalya)

肺結核/血胸(Uraḥkṣata)

出血性疾患(Raktapitta)

口渇(Tṛṣṇā)

灼熱感(Dāha)

衰弱(Daurbalya)

るい痩(Kṛṣatā)

多尿症候群(Prameha)

尿閉(Mūtrāghāta)

尿路結石(Aśmarī)

火傷(Agnidagdha)

【薬用部位】
実、実のジュース、種子、種子から取れた油、葉

【用量・用法】
実の搾り汁:10-20ml

種と根の粉末:3-6g

種子油:5-10ml


【含有化合物】
volatile oils

Flavonoids

Glycosides

Sacchrides

Proteins

Carotenes

Vitamins

Minerals

ß-sitosterin

uronic acid

【使用例(āmayikaprayoga)】
・精神異常(ウンマーダ)の患者に実の搾り汁を与える

・てんかん(アパスマーラ)にはギーを実の搾り汁で18回煮たものをすり下した甘草と共に与えると良い。このレシピは知能を増し、話を上手にして声を良くする。

・喀血している肺結核の患者にはクシュマーンダの搾り汁を与える

・実は利尿、緩下、体力向上、ポーシュティカ(アグニ(消化の火)に作用してアーマ(毒素)を燃焼して消化を適切にすることによって体を栄養すること)、ピッタ緩和、ラクタピッタ(出血性疾患)を緩和し、止血し、口渇を治し、内出血や多尿症候群を治する。

・排尿困難においてクシュマーンダの搾り汁をヤワクシャーラとヒングを混ぜたものに糖蜜を混ぜて与えると良い。

・呼吸困難と咳嗽においてはクシュマーンダの根の粉末をぬるま湯と一緒に飲むと全ての種類の呼吸困難と咳嗽に良い。

【処方例・主な適応】

クシュマーンダカンダ(Kuṣmāṇḍa khaṇḍa)・出血性疾患、呼吸困難、咳嗽

クシュマーンダグルタ(Kuṣmāṇḍa ghṛta)・てんかん

クシュマーンダチュールナ(Kuṣmāṇḍa cūrṇa)・咳嗽、呼吸困難

クシュマーンダーワレーハ(Kuṣmāṇḍāvaleha)・出血性疾患、呑酸症

クシュマーンドールワールビジャーディチュールナ(Kuṣmāṇḍorvārubijādi cūṛṇa)・排尿困難、膀胱疾患

クシュマーンダラサーヤナ(Kuṣmāṇḍa rasāyana)・肺結核、咳嗽

【注意・禁忌】
妊娠期間や授乳中に摂取するのは概ね問題ない。

肥満した人には限られた期間、限られた量を用いる。クシュマーンダはカファを増やすので冬の使用や風邪を引いたり喘息や気管支炎を起こしている人、不消化がある人には向かない。

【1行まとめ】

体力向上させ心臓と結核に良い若返り作用付き健脳薬野菜


【臨床小話】

とはいえ、皆様ご存じのように冬瓜の実は水分がほとんどですから、そのまま食べて脳に良い薬!となることはなく、搾り汁にするとか煮詰めるとかしてある程度のまとまった量を摂らないと健脳薬としての効果を期待するのは難しいです。まあ入手しやすいので知能に不安を抱える方や結核の方なんかにはヘビロテしたら良い野菜かと思います。

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